暑い最中に涼し気な風を期待出来る、と思っている大津ワンゲル道、7月は天候の悪化で敗退したが、今日は暑さの他に懸念は無い。比良山地の気温の上昇は湖面からの風を呼ぶ。故に冷風が吹き暑気に対抗出来る予定。2車線になった湖西道路は帰りの混雑を払拭した。釈迦岳方面駐車場に車は少ない。相変わらずワンゲル道は人気が無い。小橋の下を流れる水に勢いがある。
先ずは薄暗い溝状の谷中を尾根まで歩く。風も無く湿度が高くて息苦しい。尾根までの辛抱、汗のでかたが先週と同じで、一部の機能障害を疑いたくなるような溢れ方だ。ボチボチ歩く林床に大きいキノコがあっちこっち。イグチの仲間かアカヤマドリの仲間か。異常な出方ではないから大きな災害の懸念は無し。地表を覆う菌類のネットワークは、今のところは人族の予測より信頼出来る。
やっと尾根に出たのにほぼ無風、代わって出たのは後続の男性だ。暑い登山道を黙々と歩く方だ。こちらは変わらずにボチボチ、風化花崗岩を観察しながら歩く。海抜70mの湖面から漏れなく届く水上バイクのエンジン音、暑苦しい、と苦情のひとつも出た過去と違って余裕がある。湖西道路は2車線なのだ。しかし歩けども汗をだせども砦跡は遠い。路傍のオオオニタケかシロオニタケか、大きな傘を拡げたキノコの前でザックを降ろして小休止。水上バイクのノイズに負けじとツクツクボウシが勢いよく鳴く。
草臥れても、歩く限りは目的地に到達する。砦跡(古い石切場跡かな)に着いてやはり小休止、いよいよ風が出て涼しい。この先の厳しい細尾根に備えて水分補給だ。さて、と腰を挙げて細尾根に突入、急角度の両側の斜面は白く、風化花崗岩のザレ場はずっと下まで続いている。降ってもみたいが戻る体力が無い。シャクナゲの丘を過ぎると嫌な急斜面、近頃は風雨に削られ、多少歩き易い溝になった。
お次はイチョウガレ、ほぼ崖状の細尾根をはい登る。岩角・木の根を持って登るので案外に楽。寧ろ全身運動が出来て清々する。小さな溝に小さなママコナが咲いていた。2段構えの崖を超えると釈迦岳からヤケオ山に続く稜線と大岩壁、ジュウイチの鳴く場所なのだが今日は無い。ここまで来るともうヘロヘロ、強制冷却とエネルギー補給の時、イワカガミの上に敷物をして大休止。気温は20℃で涼しい風の吹く木陰だ。
降りは一度も歩かないケーブル釈迦岳コース。下の方でカラ岳コースと出合うルートで、下方は、歩き辛い、真冬でも汗になるルートだ。いざ降り始めて、ケーブル跡地までは東の風が涼しいシャクナゲの尾根であった。予想の通り、ここからが暑かった。風などは望むべくもない谷底の道を辿り、神璽谷コースと出合うと抜けた処が小川。噴出する流れに入って汗を拭き、序に裸になって流れに入ればさぞ気持ちが良い。が、少ないながらここは人の在る場所。子供でなければ裸は顰蹙もの。大人は不自由なものである。 |