■ 丹波・石戸山
・・・・2025年02月22日
2025.2.24

この先当分は大雪になる様な天気予報、下手なところへ出掛けて後で泣きを見たく無い。お手頃のところで石戸山が残っていた。手前の岩屋山までは行ったものの石戸山は未踏である。初志を貫徹しない場合のメリットの一つだ。今日の気温は氷点下4℃、谷底の、山門に佇む仁王様もさぞや寒かろう。水の消えた谷川に沿い、鳥一羽だに見ない境内を抜け、静まり返る庫裏を眺めてやや明るさの勝る裏山へ向う。

夏場の木陰は山ビルの影が付いて来る。ここまで冷えると彼らの脅威は微塵も無い。加えて葉を落とした林は明るく気持も明るい。開けっ放しの防獣柵に確り錠を下ろして岩角に続く踏み跡を辿る。厳しい斜面を登る事10分ばかり、主人の思いを察した腹部・頭部に汗が滲む。指揮系統の前衛である手足に汗が無いのは思いやる余裕さえ無いのだろうか。まあ皆仲良くやろうではないか。

向かいの尾根越しに、薄日の射す辺りでチェーンソーの音が這い上がって来た。庫裏にお住いの方々の始業の音だ。こちらはやっと鉄塔に到達した。見下ろす木々の枝松葉は霜で真っ白。斜面の落葉の隅に雪が残る。尾根上は寒かろう、身体よ頼むぞ。こんなところに何故途を?、と疑う様なロープ場・鎖場をこなして尾根が見えた。ここで暫し歩みを止めて振り向いてみよう。一文銭を拾ったこのルート、開祖は修験者にせよ戦国武将であったにせよ、古道の類で間違いなく、敢えて難所を選ぶ理由こそは何であろう?。行者を割愛すると甲州辺りの往時の事情が浮かんでは消え、いや、消えてはいけない。ちょっと戻って崖の下などを物色してはみたものの妄想の類であった。

尾根上を抜ける寒風は厳しかった。がしかし、氷上の空に居座る雪雲を前にして、和をもって尊しを学んだ五体の敵では無いのだ。横殴りの雪の中、岩屋山を抜け最後にグンと登ると石戸山ピークである。山頂にあると聞くサヌカイトの露頭はどこ?、探せどもその様な岩は一つもない。高札によれば、この先に露天掘りの鉱山があったとか、因みに、サヌカイトは非常に固い安山岩で風鈴などにもしたとあった。

仕方無い、サヌカイト探して北へ歩こう。2瘤ほど歩いたところで鉱山跡を見つけた。散乱する岩には確かな片理があって手でも取れる。故に片麻岩で良いと思う。サヌカイトは見たので、風もなく雪も少ない岩屋山鉱山跡に逃げ込んでエネルギー補給、ただパンを2〜3個与えてやるだけのお安い補給だ。最後は石龕寺奥の院に降って鐘を2回、どこまで届くものかは2回目でも不明である。


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