本格的な雪山だろう愛宕山辺りを左手に見て、今日も出掛けるのは湖南アルプス。凍り着いた天神川左岸の林道に数台の轍が残る。笹間ヶ岳登山口を過ぎると一つになった。ここからの轍は昨日のもので、薄いながらも雪上に轍を残す光栄を得た。鎧ダム登山口の前の膨らみに車を止め、残る轍を踏んでみるとツルツルのガリガリ。してみると積雪については昨日来変わらない事になる。北の空に、朝日を受けて赤白く輝く比良山系が眩しい。
先ずは鎧ダムまでのピストンが課題。ー4℃・新雪の谷底の登坂は気を使う。一番に踏み跡を残す爽快感はあるものの、岩の上の雪と氷は良く滑る。川に手を入れると思いのほか冷たくない。考えてみれば当然の帰結、流れる水は0℃以上、空気より温かい。谷底には凍てつく風が無い。遺憾ともし難い心残りはあるものの、やがてダムの巻道を辿って鎧ダムに到着、砂礫に埋まるダムに細い流れが二筋。
さて、ここからが今日の本命、不動寺と太神山ピークを拝みに行こう。ピークハントが目的ではなし、不動寺を是非見たいとも思わないので三角点は未踏であった。ところが今日は滅多に無い雪景色、歩くなら今日をおいて他に無い。時々ヒヤリと痛む膝を庇って駐車地まで戻り、改めて太神山を目指して林道を奥へ。因みに、前回までは田上山、今日は太神山を用いている。どちらもタガミヤマで良いらしいので、辺りの最高峰・山頂にあるらしい不動寺に敬意を払い、それらしい気韻の籠もる名称を用いた次第。ですかね?
S字カーブを過ぎたところで今日初めての人と遭遇、重いカメラを首から吊るすご夫婦らしいアベック、大鷹・熊鷹の翔ぶエリア?、雪雲に覆われた空を仰ぐも鳶一羽の姿も無し。姿無き案内人の如く、雪面に残る昨日の踏み跡が一つ。途中には、小さな遙拝所?、とか泣き不動と名のある不動様などがあり、聊かもない道中を慰める。しかし、子供・お年寄りに遙拝所は分かるものの、人々に光明を与えるべき不動様が泣いてはみっともない。お顔の如く、心を鬼にして睨んで貰いたい。
幾らか増えた雪の上に、鮮明に残る踏み跡が2つ、いや、3つ。狸とリスと鳥、鳥は特定できないので省くと、リスは松ぼっくりを食べお昼は済んだ。が、ふらふら歩く狸のお昼は無い。お昼のパンを分けようと思うのだが姿が無い。そういえば、以前パンをあげたが食べなかった、人よりグルメかも知れないな。
そうこうしている内に山門に着いた。人らしい左右2体の石像が良い。人を導くものは人に如かず、と言う意味で望ましい。ここからが長い。途中、杉の巨木の間を翔ぶ天狗を見た。一瞬の出来事であったから天狗で良い。科学的検証などは無用である。先ずは森と静まり帰った庫裏、長く斜度の厳しい石の階段、岩の上に組まれた舞台、舞台の上が本堂である。想定していたのは山城であったがこれは風流人士の作品か?。本堂前の眺望は、巨大な樹木に遮られてほぼ無い。残念である。
狭い三角点を拝み、日溜りの庫裏に降ってエネルギー補給、途端に雪雲が来て冷たい風が吹く、ゲーテで無くても「もっと光を!」と叫びたい。手が痛いので長居をするところでは無い。降り始めたところへ軽装の若者が1人、続いておば様2人、アベックが続き、最後は若者3人組、結構賑やかではないか。 |