今日は風もなくそう冷え込んだわけでもなく、雪の無い、雪があっても暖かい山、と云う軟弱志向に相応しい天候だ。一念発起して出掛けた先週などは、行手には絶えず虹が懸かり、雨の後は激しい雪、途中敗退と云う哀しい結末に終わってしまった。どの様な行いが天の不興をかったのか、胸に手を当てて自省しよう。思い当たるものがないでもない。
そんな訳で今日は控えめを旨としたハイキング、湖南アルプス界隈の散策に出掛けた。けして欲に目が眩んだ訳では無い。ほんの出来心くらいは見逃して頂こう。鎧ダム登山口の前に車を止めると広からぬ河原に人影が一つ。ザルを片手に踊りの稽古、には寒い。田上山・不動寺方面とお別れをして林道をおよそ1時間。やがて周辺の展望が拓け、南側に田上山の杉の木のピークが見えて来た。驚くべきは山地の崩壊を防ぐべく、長年に亘り行われた治山事業の痕跡である。大変な努力の賜物が今のお山だ。そんな結実が周辺に張り巡らせたテープとは、禅問答のようなお話だ。禅は全然知りません。
調子良く歩いて大ガレの傍を通過、道はこの先下り坂、汗して歩く道では無い。左手のガレには人か獣の踏み跡がある。ここを登り、堂山の東麓を流れる川の源流域に下降しよう。尾根を越えれば鎧ダムだ。帰路を確認して行ってみよう。5分も登れば後は降り、暗い林床に心細い流れがある。心細い流れも左右の流れを集めると一人前の谷川になる。川底は腐敗を待つばかりの落葉と風化した花崗岩。治山の痕跡は何処にでもある。
瀬音が聞こえる辺りで背丈サイズのシダが出て来た。止む終えず藪漕ぎ。藪の薄い事を頼んで降りたところが小滝の上であった。登山靴では危ない。ついてないな〜、目の前の獣道を登って滝を巻く。トゲの多い嫌なルートだ。登ったところでエネルギー補給、お尻の滑る急斜面である。まあしかし、藪のお陰で大汗になった、大いに満足、何が幸いするか分からない。
この後は平流を暫し下降、この時期に沢やさんの足跡が残る。調子良く降り過ぎると戻るのに苦労する。地図ではそろそろ鎧ダムに戻る辺り、登り返しの踏み跡はあったが、出来れば藪は避けたいのだ。少し降ったところに尾根まで続く崖を発見。灌木を頼りに這い上がり、前途を遮る灌木はノコギリでなぎ払って無事に帰還。花崗岩の角は脆くて危ない。
短い距離、少ない高度差ではあったが、大いに身体を使うハイクであった。おみやげは無し。 |