■ 京都西山・地蔵山
・・・・2025年01月12日
2025.1.13

道脇の雪は少ないものの路面は黒光りがして凍結している。気温はー5℃、いつもの駐車地に車を止め、歩いてみると危なくていけない。冬タイヤは凄いものだ。夏場は立入り禁止の地蔵山だが、姿をお隠しになる山ビル様のお陰で、冬場に限って入山が許されている。

半年ばかりのご無沙汰ではあるが、集落の中にも変化がある。大銀杏の先の家は半分になった。トマトを頂いた家は、お礼をしないまま無住らしい。集落内の小径はほぼ藪である。小猫が3匹いた家はあっさりとして、小猫の姿は失くなった。除雪した路があるからお住いであると思う。

新しくなった防獣柵を開け芦見峠まで黙々と歩く。少ないながら、今季初の雪を踏みしめる音が小気味良い。上の方で鹿が鳴く。暫くは鳴いて、気が済んだのか鳴き声が消えた。風の無い雪山は音が無い。峠からはやや積雪も増え、大きく育った両脇の松の間の小道が続く。西の空の雲が赤く色付いて、これをモルゲンロートと呼んでは穏当では無い。朝焼けと呼ばなければお叱りを受ける。

新雪の下は、堆く積もった落葉の道、斜度が増すと歩き辛い。雪面に残る鹿や狸の足跡に、姿勢を乱した様子は無い。他に足跡は無し、いわば人族の代表の積りで確りと足跡を残した。辿り着いた林の中は、エビの尻尾の欠片ほどの霧氷が着いてとても綺麗。風の無いお陰で、ゆっくり鑑賞が出来るのだから、尻尾の欠片で充分である。

この先は馬酔木の林、雪の馬酔木は迷宮だ。西側山腹を巻き山頂の反射板跡地に到着、日差しがあって温かい。登山道の馬酔木は切払われて、先ずは山頂におわします西向地蔵様にご挨拶。こんにちは〜と久闊を叙する積りでお顔を拝見、え〜!、なんと、坊主頭は雪を頂いてリーゼント、いかにお御足が自由とはいえ神仏に連なるお方、それで良いんですか?、とは最初の言葉。つらつら考えてみればお地蔵様はまだ50代、色々とお試しもされたかろう。夜な夜な繁華街を彷徨く事もあるだろうか。

お地蔵様への挨拶も済み、山頂三角点に移動、漏れ聞こえる声をたどると腰掛けたおば様と若者1人。何やら異世界を思わせる雰囲気の山頂だ。木製のお地蔵の消息を探り、そのまま山頂を降って滝谷下降地点、目の前に見える京都の街を確認して、人跡稀な深山幽谷の中から帰還したような思いがした。世の中に不思議なことはまま有る。

スキー場跡地からジープ道に降り、本物のボブスレーコースと化した雪のジープ道を歩き、溶け出した府道を歩いて越畑に帰還した。


CGI-design