■ 京都西山・行者山
・・・・2024年12月28日
2024.12.30

国道9号の北側に松の多いこ高い尾根が見える。そこには目指す行者山があるはずなのだが識別は不能だ。500に満たない山塊ではあるし、夏に歩いた時には呆気なく着いてしまったピークである。そんなお山にまたも行ってみたいと思わせたのは、その時聞いた、蝉時雨の東斜面に木霊する音。あれは岩を叩く音に違い無い。大峰の最深部ならいざ知らず、里山に秘められた行者の秘密を見てやろう。

近くに駐車場所などはありそうに無く、近所の皆様にご迷惑をお掛けするのは本意では無い。それらしい空地を探すと高速の下が広い。先にはお墓と人気の無い資材置場、ご迷惑になる様なところでは無い。ではここに、と車を降りると−2Cの寒気は応える。幸いな事に風は無い。歩けば自家発電が有効な気象だ。しかし行者の森にしては雑然としていて、凡そ聖域の雰囲気が無い。行者が出没した時代は過去の事らしい。

ハイキングコースの看板も随分色褪せてみすぼらしい。高速道路のロードノイズが加わると一層情け無い。しかしどうやら森に入るととりあえずお山の雰囲気、人の手が入った様な林床が続き往時を偲ぶよすがはある。寺社と云うより集団で居住したらしい痕跡だ。何分、京都は近い。葉裏の白いアベマキの枯葉の道を歩くと上方で鹿がピー・ピー・ピー・、、と、2〜3秒間隔で鳴く。音波探信の如き連続の警戒音は始めて聞いた。鹿はソナーを手に入れた?。

どんな鹿や?、と曲折した道を登ると探信音は消え鹿の姿は無い。行者の法力を会得した鹿、として記憶しておこう。雰囲気は俄然良くなって、少し登った位置に鳥居が2つ、上の方には東屋の様なものもある。愈々行者の領域だ。岩場に穿った暗い穴が幾つか、穴の奥には結跏趺坐した仏様が居られたようだが法力を会得しない状態ではちょっと怖い。教えて頂いてから挑戦しよう。

修行場?を過ぎると大岩の傍を抜け、やっぱり呆気なく行者山に着いてしまった。岩を穿つ修行僧の姿は遂に見ない。これはひとえに修行不足によるところか、そうなら当分は無理そうだから、となりの堂徳山でも歩いて徳と仲良くした方が良かろう。風の無い、日差しの尾根は温かい。


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