■ 湖南アルプス・矢筈ヶ岳
・・・・2024年11月30日
2024.12.1

8時前の田上公園は満車状態、嘗ての光景を思い起こし、入口傍に横向きで止めさせて頂いた。晩秋と言おうか初冬と云うべきか迷うところだが、紅葉した公園の樹木は綺麗で紅葉狩も出来そうな光景だ。先行者に習って公園の中を移動、間もなく閉鎖の看板があってやむなく草生す土手を歩く。視線の先に工事中の巨大高速道路、今回で4回目だが既に風景の一部になった。

登山口まで車で入るとこの光景と凡そ1kmが消失する。欄干の無い橋を渡ると黄葉の道。川の中の飛び石を渡る先行者、マイカーと公共交通で来られた方々は堂山に向かわれたのか、前方に人影は無い。1度だけ歩いた、笹間ヶ岳ルートに残る踏み跡は多い。果たして今日のものであるかどうか、前方に人の気配は無い。熊の出没もなさそうなので熊鈴も無し。

小さな谷川の傍を歩き、黒い露岩の上を歩くとやがて二股に出る。笹間ヶ岳へは右へ、今日は矢筈ヶ岳を目指すべく左。起伏の少ない途は申し分無い。さっきまでそよ風程度の風がここへ来て強風に変わった。波浪注意報の出ていたのを思い出した。快適な途は寒い途に、気温はほぼ0℃だ。

思いの他長い途には額に汗の滲む程度の適度なアップダウンがある。樹林の下に続くルートで遠望はほぼ無い。そうすると関心はもっぱら地形とそこに残る人の痕跡。道形の残る踏み跡は相当に古く、辺りの歴史と合わせると1000年続く道である事も否め無い。そこに残る石垣などは壬申の乱に由来するものであるか戦国の世のものであるか。小規模ながら延々と続くそうした構造物は想像を逞しくさせる。

自然石を使った石組などは道から小山の上部にまで配されていて、茶店にしては手が混んでいる。冷える寂しい道で、強風に立木が騒ぐと妖怪が出没する。想像を逞しくした結果、魑魅魍魎の跋扈を許してしまう方々もあったはず。そうした光景が延々続き、塩ビパイプが出て来たところでお山の保全工事であることが分かった。一部はやはり古いものだと思う。

快適な途の最後はかなり厳しい斜面。山頂を示すものは皆様が吊るした山名が2枚あるだけ、道中の道標も寂しかった。出合峠まで戻って、東海自然歩道までの長い途。やっぱり展望の無い樹林の下のルートを歩く。立派な明るい道に出て、右に歩けば不動寺と太神山、不動寺までは行ってみよう。

不動寺から降って来られるハイカーが三々五々。山門の鳥居の背後に剽軽なみ仏?が左右1体、不動様の恐ろしげなお顔に代わって柔和なお顔に好感が持てる。地蔵山の西向地蔵様を想起させるお顔だ。であるから、鳥居の前の床几でエネルギー補給、しかし寒い。早々に切り上げてお山を降ろう。寒さはやはり、忙しくていけない。


CGI-design