■ 中国山地・大万木山
・・・・2024年11月03日
2024.11.4

ナビのお勧めコースは細い県道、昨日の嵐の余韻は未だ消えず、おまけに濃霧ときては実に心細い。落葉と落石との区別も難しい山腹の曲折道を進む事およそ1時間、人家が見えた時にはホッと胸を撫でおろした。目指す大万木山(おおよろぎやま)への道標があって拝みたいほどだ。路面の見える有り難い道を進むと道が別れる。そろそろ駐車場であろうからどっちでも良い。左に登ると道は更に細く、水の出た後には石がゴロゴロ、ドキドキもので急坂を登ると門坂駐車場に着いた。あ〜疲れた。

用意をしながら見回した、大雨の跡のガスの中の駐車場。言うまでもなく無人、こんな日に訪れる人は奇特以外の何者でも無い、と思っているところへ家族連れの車が着いた。酔狂な人達である。川沿いに登るコースは滝コース、上には滝があるらしい。直に例の家族連れが追いついて来て、早足で山腹に消えて行った。長丁場の山行を知ったのは後の話。

なにせ昨日は警報級の雨、谷の水は多く瀬音は谷中を震わすほど。山腹の二次林を見ながら登ると足元に転がるノロ、タタラから出た金屑だ。辺りの二次林の所以である。タタラがあったらしい平坦地には避難小屋があった。歴史に思いを致す暇も無く、立派な滝が出現した。流れ落ちる様子は奔放、多段の滝を造って落ちて来る。ここで暫く滝の鑑賞、紅葉は未だやや早い。

滝を過ぎ、暫く歩くと綺麗な舗装路に飛び出た。路面・広さ・綺麗さ何れをとっても県道より良い、沸々。直ぐに山腹に入り尾根に出た。辺りは概ね原生の森、紅葉した樹木の下だが光が無い。大山方面は濃い霧の彼方で県外へのサービスは今日も無し。ここでルートは幾つかに別れ、1つは県民の森方面に降るはず。目指すピークへは緩やかなブナ・ミズナラの小径が続く。

一帯は熊の生息地とあった。が林床に残るドングリの類は1個だけ。キノコもないし、およそ動物を活かすだけの食糧は無い。今年のお山は不作である。近くで鳴いた鹿の食糧も少なかろう。落ちたツキヨダケもたったの1つ。やや薄くなった霧の彼方に小屋が見えた。山頂避難小屋かな?、どなたか立ち寄った痕跡があった。

とても広い平坦地に出た。ここがピーク?、樹林で囲まれた広場に景観は全く無い。寧ろ、これだけ広いと神楽も可能、見るべきは広場、という事だろう。案内板などを見ていると、権現コースから単独の男性が現れた。尾根道で同じく単独の男性において行かれた。今日3組めの物好きである。陽射しが出て来て温かい、空を仰ぐと青空がある。

ここから西に尾根を歩いて谷コースへ降る。琴引山まで歩いてみたいがそうすると宿泊地が必要だ。いつの日か歩いてみよう。陽射しの出た尾根ルートは快適である。陽射しが出て林床と梢に紅葉がある。ところが展望はやはりよろしく無い。振り向いた大万木山さえ見えそうで見えない梢の陰である。降る直前にあった、西に拓けた大展望所、麓の様子を始めて拝んだ。右には三瓶山が控えていた。

拝んだ後は降らねばお泊まり。降る北斜面は原生林で木々は大きく明るい途。くの字の下降が終わると谷川の渡渉。増水した谷にはスパッツが正解であった。こちらから来られた女性の靴はローカット、濡れる事覚悟で登って行かれた。大岩の塔の立つ、雨後の、綺麗な水の流れる谷だ。


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