キャンプ場へ左折したところに大きな駐車場がある。キャンプ場までまだかなりの距離を残した位置だ。ところが、どう見ても登山目的で訪れた方々の車が相当数止まっている。この先の不通を示す掲示などはどこにも無い。車の先には歩いて登山口を目指す方々が三々五々、こんな様子は始めて見た。登山口のキャンプ場の駐車地は満車状態、だからといってあそこまで戻らなくても上がある。スキー場の駐車地にはまだ相当の空きがあった。ではあるが、この混雑は何だろう?。調べると、明日はお山の山開き、主体は若桜側で養父では無い。
天気晴朗にしてやや風強し。東尾根の登山口にはカッコウの鳴き声が響き、冷ややかな風のお陰で人工林の急斜面を登って尾根上の避難小屋に到達した。ここからの尾根歩きは斜度も少なく快適なブナの林が続く。その先は、山腹を巻きながら神大小屋を経て山頂までの緩斜面はお手のもの。今日の氷ノ山はもう達成したのも同様である。
冷たい空気のお陰で遠望はとても良い。遠望の利く辺りは陽射しの中だ。陽射しは少々厳しいものの、スズコ取りの皆様がいて至極平穏な雰囲気の中である。日頃収穫などに無縁な皆様にあって、山歩きの途次、こうした収穫の真似事に触れられる事はとても貴重な体験である。ゆえに皆様の表情はとても明るい。収穫したスズコが美味いかどうかは問題ではない。
スズコ取りに勤しむ方々に混じり、賑やかな高校生の山岳部員が多数、登って行く。神大小屋は彼らの休息場所である。それほども疲れがないのでそのまま山頂を目指す。多くの登山者に踏まれた道は、吹けば飛ぶほどの土埃を溜めた道である。古生沼へは繁った笹がとうせんぼ、大勢が割拠する山頂には空きがなかった。北に続くスキー場、南に続く三ノ丸の広大な笹原、西の若桜に降る山野の様子を見て、氷ノ越えに向って下降しよう。
エネルギーの枯渇を何とか岩のルート下で補給、登って来られる方々は途絶える事なく、降る方々も同じく途絶え無い。氷ノ越の避難小屋を過ぎると前後に人影が無い。キャンプ場からのコースはもっぱら登り専用、静まり返った急峻な谷間に、夏鳥のアカショウビンが鳴き出した。急勾配の登山道を降るので脚がだるい。だるい脚で、キャンプ場からスキー場までの登り返しは今日もっとも堪えた登りであった。 |