兵庫県下に妙見山は4座あるらしい。能勢・但馬・黒田の荘の妙見山は既に歩いた。そうすると残るお山は多可町の妙見山、動機は違えどこれを登ると兵庫県下に未踏の妙見山は無い事になる。広い多可ふれあい館の駐車場に車を止めると目の前は東山古墳群、すぐ傍に学校とゴルフ場のあるロケーション、墳墓の主にはどう見えるかな?
ピーク辺りの新緑を拝み、防獣柵を開け林道に出る。暫く歩くと古色を帯び、小さ過ぎる様にも思える登山口の道標が立つ。今日から冬装備は全て外した春仕様。にも拘らず登り始めて数分で汗ばむ気温。近年の春には冬から夏への移行期間の性質が失われていく。温暖化を持ち出しても詮無いことだが、何だか忙しくていけない。
出始めた木陰を頼りに尾根に到着、左の山へは「城山」の道標、城山の上ではコマドリが盛んに囀る。お若い男性が一人、黙々と追い越して行った。かなり斜度のある尾根にはスミレが咲き、他にミツバツツジが慰めである。ところどころ、古道の痕跡を留める辺りは妙見信仰を連想させる。仏教の未だ渡来しない弥生の時代の眼差しには何が写った事だろう。中集落と古墳を見下ろしながら思う事である。
「あまんじゃこの忘れ石」などと書かれた看板がある。お話の梗概は読ませて貰った。が、辺りを覗いてもそれらしい岩は無い。少し登ったところにやはり南に拓けた展望地がある。気付くと上方では彼の男性が風に吹かれて休息中。ピークを踏んだかどうだか不明ではあるが、降り始めた直後に転んだ様な音を残していった。ありゃ〜相当痛かったと思う。オオルリに加えてセンダイムシクイが囀る。
ピーク、と見えた平坦な祠の立つ頂きは8合目?、一旦降って登り返した先の露岩の上は、9合目、建物を彷彿させる場所である。やっと辿り着いたピークは巨大な巌の上であった。ここからは北への展望が拓け、千ヶ峰から南に延びる峰々への展望が良い。昼食には早い時間、東側への牧野コースへ降って周回としよう。牧野コースの踏み跡は少ない。
牧野コースのルート上には長大な古い金網ネットが張られれいる。一部では登山道保護の機能もあるようだが、何の為にあるのか不明である。尾根を降りやや薄暗い谷を抜け、降りたところは牧野大池の上、綺麗な舗装道路の先にある大池の水は青かった。林道脇を流れる谷川の水は更に青い。エネルギー補給で腰を下ろすとすぐ脇に筆リンドウが咲く。松が全て枯れてしまった明るい林道を2キロ歩いて周回を完了。青い水の調査は続くだろう。 |