今日は夏日に近い気温になると云う。先週までの寒さを思えば嘘の様な話だ。桜は咲き始めた処で、本格的な雨の後を考えた結果、近場ではあるがそれなりに厳しい、千ヶ峰がターゲットだ。好天とあって三谷渓谷登山口の車は多い。七不思議コースから歩くべく、人工林の中に満開の黄色い花を咲かせるミツマタの道を歩いて30分、陽射しの中の段々畑、道端にはオドリコソウやフキノトウが頭を擡げる岩座神(いざりがみ)。もう少し早ければフキノトウは天ぷらであった。
増水した、谷川の瀬音を背中で聞いて、巨大砂防ダムへの道を登る。谷川を渡渉、昼なお暗い谷に入ると厳しい斜度が待っていた。降りでは苦にならなかった谷の斜度は殆ど崖と同様である。日向で昇る気温はここでは10℃、これが多いに助けになった。七不思議のひとつである岩の塔目指して登る先に、立派な滝が現れた。1週間続いた芽吹きの雨は立派な滝を蘇らせた。
滝を巻き、上方がほぼ岩に変わる辺りに岩の塔が現れる。背の高いカナダ杉の林立する中の岩の塔は目立たない。案内の看板を見て、探してはじめて見る事が出来る。いわば隠れ蓑を纏った巨大岩塔といって良い。ただ一箇所の緩やかな途を辿り、再び尾根をほぼ直登、ここで下山の若者と出逢った。左の山腹では激しい滝音が木霊する。岩を越え、補助ロープの続く急斜面を攀じると人工林から開放される。明るく温かい冬枯れの尾根から千ヶ峰ピークの人影が見えた。やれやれ、お陰で今日は汗まみれだ。充分な量の汗は身体の錆落とし。が、情けない事に少し脚がだるい。鼻がヒリヒリするのは黄砂故、笠形山辺りはほぼ春霞の彼方である。
最後に、馬酔木の林に続くズルズル途を登って主尾根に着いた。これで今日のミッションはほぼ終わり。山頂直下の日溜りでエネルギー補給、傍の藪でウグイスが盛んに囀る。温かさは人族ものんびり出来て良い。ピークで但馬のお山の同定に暫し時間潰し。水が多かろう三谷渓谷に向って下山開始、こちらも結構な斜度のあるコースだ。流れの中の岩場に咲くチャルメルソウへは手が届かない。山腹のヤマルリソウは2つ3つ、これから咲く花も多かろう。雌滝・雄滝は光が少ない。
帰りの道中、多可町東山古墳群を見学した。5世紀頃の円墳群で、内部の見学も可能である。玄室は想像よりはかなり広く丁寧に作られていた。盗掘により副葬品は多く無いとの説明がある。駐車場の上の施設を覗くと副葬品のみならず、石器時代〜近世までの出土品の展示があり、縄文土器は西日本では希少、しかも無料で見学出来る。 |