■ 京都北山・中山谷山
・・・・2023年11月25日
2023.11.26

北部の天気は恐らく荒れ模様、しかしそれほど酷い予報ではなし、大峰も雨のハイクだった。少々の荒天は覚悟の上だが雨、自然文化村のテントサイトはけっこう賑やかだ。暖かい自宅より、4℃ばかりの雨のテントとは恐れ入る。田歌から五波谷に延びる林道に入り、冷水谷出合近くに車を止めた。

濡れた急斜面に残る踏み跡は獣道、そこを辿るのだから獣である。日頃の往来は主に鹿、下草・ドングリの類はさっぱり無いから熊は居ない、と思っている。居ない筈の熊がいたら大変だ。きっと空腹に違い無く、冷静な話合いの場は恐らく無理、故に出会いたく無いから笛を吹く。上の見えなくなる、傾斜の変わる手前で笛を数回、熊は出ないが雪が来た。辺りはガス、が思ったよりも空は明るく、林床も明るい。

白っぽく滲むモミジの色は、緑から赤までのグラデーション、最後に色付くコナラなどは黄色から茶色、横殴りの雪の中は明るかった。Co600の平坦地に登り、南の空を仰ぐと雲間には薄日が射す。雨が少なかったのか、辺りの木々に葉も実も無い。濡れた白い土には鹿の足跡だけが残る。地を覆う笹があった頃に、溢れていた生気が感じられない。

Co700の平地の中央に、杉の木が中心になり、風雨を遮る天然の避難所が出来ていた。そこから飛び出た鹿が3頭、北の谷間に逃げて行った。雪はいよいよ激しく降る。中山谷山の南尾根に乗った頃から、ピーピー聞こえるのは笛では無い、鹿の鳴き声だ。いつまでも、跡を追うように鳴き続け、まるで不法侵入の暴挙を非難する様な鳴き方に聞こえてくる。遂に、物申す鹿を輩出する時代になったか。

背後に非難の声を聞きながら、乾いた、しかし紅葉の綺麗な尾根を歩いて中山谷山。当然無人、風が強くて寒い。鹿の抗議の声もいつしか止み、雨がまた激しく降る尾根を歩いて五波峠着、この辺りの紅葉も綺麗で、勿体無いほどだ。長い林道を歩くと時に暖かい日の射す時もある。これ幸いとエネルギー補給に入ったところで忽ち大粒の雨、嫌な天気の典型である。


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