■ 中国山地・琴引山
・・・・2023年10月07日
2023.10.9

琴引山へは県民の森から歩く。島根県出身者としては、岡山や広島の県民の森にも負けないものであって欲しい、と云う思いがあるのは当然だ。夏の終わりとしては唐突に過ぎる気温の低下で空模様は今ひとつ、着いた県民の森にも活気が無い。長々と続く林道を辿り、草峠から大万木山へと続く中国山地の主稜線を望むと云う思いは、橋を塞ぐロープであえなく消えた。台風による路肩崩壊が原因らしい。

琴引山は、橋を渡りキノコ園を抜け、主稜線を越えて一旦降った先の山だ。陽射しも無く風の冷たいキノコ園に入ると数人の若者が先行する。気持の良いウッドチップの道を辿ると方向が違う。彼らの辿るルートは散歩道。少し戻り、ウッドチップの無い道こそが琴引山へのルートであった。むむ、神話の故郷をしてこの冷遇は一体褒められたものか。川岸には背の高いミョウガが育ち、この時期でも花芽の収穫出来る事を知った。どなたか採集された痕跡が残る。

人工林の斜面を登って林道に出た。汗ばんできたので一枚脱ぐ。林道を少し歩くと琴引山へのよく整備された登山道がある。ここには流石に道標もある、がキノコ園には道標さえ無かったと思う。歩き易いくの字の道は、斜度の厳しい山腹に続く自然林の中の明るいルートだ。見上げた空には青空が覗き天候は良い方へ向かっている。

大岩の傍を抜けるとブナとクリが主体の尾根に乗った。ブナの林にクリの木を多数見る森は初めてである。しかし遠望は余り良くない。良くは無いが目の前のお山が琴引山。東に少し歩くとそこへ向って斜面を降る。地図でみると高度差ほぼ100mのアルバイトだ。秋らしくなって1週間、慌ただしい事ではあるがお恵みは?、と探す斜面に乾いたムラサキアブラシメジが少々と知らないキノコ、勿論食用にする事は無い。

琴引山への登りは歩きやすい笹のルートだ。山頂が近くなるほど平坦になる。いわゆる準平原地形、ここで突然ブナとクリの森が大和杉に変わった。カナダ杉では無いから戦後の植林では無い、何だろうね?。明るい広場に抜けると北側と西側ルートと出合う。礎石らしいものが点々と残る広場は建物跡だ。神楽奉納の舞台であっても不思議では無い。

東にちょっと、岩場を登ると先ずは三瓶山が顔を出す。次に見えてきたのは「八百万の神の降臨地」の碑である。新しい碑で古色は無い。ピークの岩に足を乗せると三瓶山の右に出雲が見えた。ちょうど出雲大社の辺りである。風は強くて寒い、が雲は去り青空に覆われた空は「出雲」では無く「山陰」でも無い。意味の無い地名改変に血道をあげるより、先ずはこれを是正せよ。残念ながら隠岐と大山は霞の彼方であった。

下の方で人の気配がある。スキー場からの来訪者らしい。狭い山頂ピークを空け下山。主稜線まで戻って、尾根を東に草ノ城山まで行く時間は残り少ない。林道まで降り、アキノキリンソウの咲く道を降って舗装路を公園施設まで歩いた。県の施設としては細やかである。


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