■ 両白山地・銚子ヶ峰
・・・・2023年05月28日
2023.5.28

登山口の駐車地は一杯で、降った道の膨らみに止めさせて貰いはしたが、辺りに止まる車は釣り師ばかり、帰りに釣りでもしてやろうか。そう言えば、上小池への道は未だ不通だ。大杉目指して登る自然石の階段を降って来られる人がある。大杉目当ての様子には見えず、朝からご苦労な事である。雲の多い日で陽射しは少ないものの早くも大汗だ。推定樹齢1800歳の大杉は流石に大きい。朽ちた根元を覆う木の板が数カ所、あの程度で治療になるのだろうか。

大杉を見てここからが本番。少し登ると風のぬける快適なブナの森が続く。林床を覆うミツバオウレンに花は無い。どこら辺りで花が着くのか愉しみだ。ブナの枝越しに願経寺山の稜線が見える。緑に覆われた麗しい光景だが一面の緑はほぼ笹藪、登山ルートは地図に無い。右手にも同じ様に山脈が続きこちらは最後に大日ヶ岳に降っている。奥の方に見えてきた銚子ヶ峰は未だ遠い。

ぼちぼち「おたけり坂」に差し掛かかる頃、と待ち受けるとなかなか現れない。沿道に賑やかさを演出するのはムラサキヤシオ、クレパスカラーの中に落ち着きを与える色だ。ミツバオウレンにも花の残る個体が増え、おたけり坂を越えるとツバメオモトが咲いている。銚子ヶ峰に続く稜線に雪が見えると花の途になった。黒雲の湧く北の空に青空が覗く。天気は回復傾向と考えて良い。前回の雷鳴の中とは大違い、降って来られる方々にも余裕がある。

避難小屋を過ぎ、石ゴロゴロの途を辿って尾根に出る。森の切れた溝状の途の周辺はヒメイチゲとオオバキスミレの咲くエリアで、母御岩なる巨大な岩の上に残雪の別山が現れた。この岩が崩れると登山者などはひとたまりもない。せめて腹は満たしておきたい。ここでエネルギー補給。道中見えていた雪渓は目の前で、一月も経てばニッコウキスゲの咲く斜面に変わる。

さて、銚子ヶ峰へは笹の大地をちょっと登るはずであったが克く見れば結構な登り、記憶は都合の良いところばかりが残る。汗を拭きつつ登り詰めた銚子ヶ峰ピーク、お休みの皆様の背後に聳える三ノ峰、究極は別山だが先ずはこの尾根ルートが難関だ。斥候を兼ねて一ノ峰まで歩いてやろう。で、登りたいのに降ると云う不都合、細い岩尾根を降ると左手下に広がる笠羽ノ湿原、良いところだ。ミネザクラの咲く尾根を少し登り返すと一ノ峰〜三ノ峰への尾根が拓けた。二ノ峰ピークは針葉樹の小さな林を作り、招いているようにさえ見える光景だが今からではとても遠い。

笠羽ノ谷を隔てた三ノ峰は遠かった。ところで、上小池側の谷がカサバノ谷で石徹白側は笠羽谷、同じ地名だが何故だろう?。この疑問は次に回して帰り道、既に銚子ヶ峰は無人である。おたけり坂を降ったところで熊の糞を見た。おたけり坂の木の看板に爪痕がある。いずれも登りでは無かったものだ。降りて来たのが16時過ぎ、川面は釣り師の時間である。


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