■ 京都西山・地蔵山
・・・・2023年04月29日
2023.4.30

起きて直ぐ、窓の外を見ると雨は無い。先ずは有り難し、が、空一面に広がる狂おしいばかりの雲を見ると、雨は避けられそうに無い。予定のとおり、京都西山の地蔵山に向かう。愛宕山のジープ道を歩いて地蔵山との尾根を歩く。雨が来たならその時点で終わり。芦見峠を外すのは山ビルの恐れがあるからで、無防備で山ビルの襲来を受けた在りし日の記憶がそうさせる。

区役所出張所の裏に車を止める頃には厚い雲は消え薄日が射す。雲を吹き飛ばす強い風、今日から冬用下着をやめたのでちょっと寒い。カッパを着てよくなった。ジープ道を少し登ると右手は落葉樹の林で季節柄柔らかな光景。左側は植林地で見るべきものは少ない。が、ある種の落葉樹はこうした林縁を好む。寄らば大樹の影と云う類の樹木でいわば軟弱ものである。

この軟弱ものの木がこれまた一部の人には魅力あるものとして目に飛び込む。冬芽が膨らみ葉を大きく開く直前が狙い目だからちょうど今頃だ。リュージュのコースを思わせる厳しい道を登ると若葉を出したタラの木があった。空に伸ばした道側の枝に残る若芽はひとつ、春の恵みに感謝しつつ有難く頂いた。神明峠へ続く途を別けると厳しい風の吹く区間、道の両側に多数の倒木があり、もっとも多い樹種は軟弱ものの木である。多くは既に枯れ、しかし春になり冬芽を広げるものも混じっている。こんな木の傍には人の踏み跡が鮮明だ。一部の人が立ち寄った印に残していく。

旧愛宕スキー場側に降りると風は少なくツツドリの鳴声の聞こえる静かな尾根。ミツバツツジは林床を飾りヤマツツジはそろそろ見頃。反射板跡地から見下ろす軽い調子の森の先に霞む京都の街並み。歩きやすい登山道は手入れが入ったばかり。地蔵山ピークを踏んで今年2回目の西向地蔵様とのご対面、雪の乗らないおみ足はやはり大きい。

裏の空き地でエネルギー補給、傍の藪にホオジロの出入りする季節だ。さて、空は未だ崩れないから北側の花の様子を訪ねてみた。馬酔木の続く林床にはキランソウ、別名、地獄の釜の蓋と云う恐るべき名を付けられた花が咲く。こんな名前は付けられた植物には気の毒である。お目当ての花は、今季最後の花を辛うじて留めていた。有難い。

ここまで来たからには芦見峠に降り周回しよう。明るい急斜面の樹林帯を降り、植林の中のミッションコーラの看板の掛かる売店跡、手折られたワラビの茎を見ると芦見峠。ここからは登山道の微小変化、足元にまとわりつく異物に細心の注意を払いながらの降りである。随分暗くはなったが最後まで雨は無い、有難や、仏々々。


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