■ 伊吹山地・横山岳
・・・・2023年04月22日
2023.4.23

天候にやや不安はあるものの、雪解けの横山岳に行ける日がやっと来た。駐車地には先行車が十数台、白谷コースの解禁に合わせた方々だと思う。見回した周辺は柔らかな色彩で溢れ、近頃では見なくなった春がある。わざわざ湖北まで足を運んでやっと見られる景色である。草の類がこんなに貴重なものになるとは少し前まで思わなかった。白い花はほぼクサイチゴ、イチリンソウには今年は遅い。

向かうのはコエチ谷コース、いつもいつもコエチ谷、白谷コースは未踏だが、ここまで出向いてわざわざ谷底を歩くのは考えものだ。暑さに喘ぐ夏場ならともかく、春霞の湖北の山河を見渡しながらの歩きの方が数段勝る。コエチ谷に入ると咲き残りのイチリンソウとヤマブキが少々、ラショウモンカズラとスミレは我が世とばかりに咲き誇る。天候は晴れだが気温は低く風が強い。そんな中でもツツドリの低い声が谷間に響く。

鳥越峠までほぼ崖を登る。少し登って振り向くと、葉を出し始めたばかりのケヤキの森の木漏れ日が眩しい。チゴユリなどの咲く急斜面にエビネを見た記憶があるが探せども姿が無い。墓谷山の肩まで登って概ね満足した。強い風が顔に当たると痛くて不快、屹立する三高尾根は厳しい。距離が欲しくば林道でも事足りる。道から見下ろす樹冠は素晴らしいに違い無いのだ。

後ろ髪引かれながらの三高尾根の始まりだ、どうしてこんなに厳しいのだろう。雪の消えた、落葉の斜面に人の気配は絶えて無い。愈々募る強風の中、黙々と、いや結構騒ぎながらかな、登ってごく短い緩斜面に這い上る。ごく短いので直ぐに次の見上げる斜面が延々続く。いたわりと云う、気遣いの無いお山である。背後にチラチラ見える余呉湖と琵琶湖、背中を押して貰った感触は無い。

人でなしの尾根を登るとおもてなしに溢れた緩斜面が続く。右に谷を挟んで東尾根と金糞岳、その背後に霞む伊吹山。左には連綿と続く湖北の峰々。胸のすく景観だ。落葉の上はイワウチワが覆い、小さなフデリンドウが咲いていたりごく小さなイカリソウが咲いていたり、至れり尽くせりのサービスである。長く待たせてしまったコブシとカタクリには多いに感心した。

さて残るは最後の急斜面だがこいつがまた不人情を形にしたような奴でいつも応える。咲くばかりに見えるヤマシャクヤクや押出しの良い巨大ブナなどを合間に立たせて応援はするものの手助けが無い。ただ鍛えれば良いというものでは無かろう。お陰で膝は上がらなくなる寸前でピークに到着〜、と、ピークの広場を埋め尽くす皆様のお顔とご対面〜、いや驚いた。アホな事は云わなかったよな

隙間は無いので東尾根へそのまま移動、冷たい風の中気温は4℃、マンサクは満開でコブシはまだ蕾、下手なところで店を広げると凍えてしまう。展望の良い岩場を抜け東尾根ピークの横でお昼ごはん。ここは風が少ない。お昼を頂きながら見る奥美濃方面は魅力的だ。そうしているところへお昼を終えた皆様が三々五々降る。ここでこんなに多くのハイカーを見たのは始めてである。これも新型コロナの後遺症だとすれば近々快方に向かうだろう。

凍えてギクシャクする体で東尾根を降るとイワウチワが最盛期である。撮影タイムの皆様の横をすり抜けさっさと下山。やはり900mを過ぎると温かく、葉を大きく開いた樹木ばかりで狙いが外れてお土産が消失した。林道を歩くと地元の皆様があちらこちらで何やら物色中。おもてなしを標榜するお国柄、お尋ねしても良かったかな。


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