■ 丹波・佐仲峠〜三尾山〜鏡峠
・・・・2023年04月01日
2023.4.2

例年より早い桜の満開に加えてこの快晴とくれば、何処も彼処も人で溢れかえる事が予想される。またも大坂山では仕舞に興味さえ消失しかねない。遠からずマンネリにならず、季節に見合う山域を探すと春日辺りが候補に上がった。天気は良いから陽射しは欲しい、春らしい景色は当然である。で、思い出したのが佐仲ダムから三尾山を経て鏡峠に至る尾根歩き、暫くするとヒカゲツツジで賑わう山域だ。

ダム下のキャンプ場は朝から軒を連ねて賑わっている。ダム堰堤の下側という立地に加え喧騒を離れてもの長屋住まい、どう考えても人気の源泉に乏しい。近頃のブームは理解し難いものも混じる。ダム湖の堰堤の桜は五分咲き程度、釣り師の車は5〜6台、最奥の駐車地も同じである。歩き出すばかりのアベックが一組、急速な温度上昇で風はやや強め。湖面には大きめの鮒がブラブラ散歩中だ。

泥濘む道を暫く辿ると春霞の色と見紛う新芽を伸ばした雑木林、山桜も最盛期である。この道は今でも残る数少ない現役の峠道だ。明るい途を辿ると真っ赤な花を着けたツバキの中に色鮮やかなミツバツツジ。ミツバツツジはその軽やかな色彩で幾らか損をしている。一面に咲くミツバツツジは軽薄の誹りを免れない。今の様に、ちょっと暗い藪ツバキの中などに咲くとその軽さ故に有難い。彼らの知らんところだ。

峠に着き、春日方面を少し覗いて小休止。やや風雪に傷んだお地蔵様を見ると文政10年の文字がある。調べたところ1828年。200年前に設置され、今日も峠道の守りを務める有難いお地蔵様だ。それに対して途の反対側にあったであろう茶店は痕跡を残して何も無い。お地蔵様の偉い所以である。ここから三尾山への途は「麒麟が来る」で整備された。ブームが去った今日では、そうした記憶もなくなりつつある。お地蔵様はやはり偉い!。

途中まで古い踏み跡を忠実に辿る途は、一番斜度が厳しくなる辺りで、古い踏み跡を捨てその急斜面に続いている。何でやねん!、整備距離の短縮としか思えない措置だ。お陰で汗になった。岩場の鞍部を登り返すと三尾山だが、城跡でのんびりする積りは無いからここから眺めるだけ。右手に歩き、陽のあたる岩場でザックを下ろすと満開の花の中であった。こんなに早いヒカゲツツジの開花は想定に無い。多くの葉に黒く変色した斑点がある。霜による細胞の壊死だ。

思いがけない花見の中、後続の男性が到着して暫くお話。2週間後の花見の為の下見らしいがその頃には花は無い、どうしたものかと去って行かれた。次は反対側から登って来られたアベックが到着、ご満足な様子である。姿なきハイカーの声が聞こえて来る。満開の花の岩場を降りて登って、今年は咲いていたイワウチワを鑑賞して鏡峠に到着。峠から鋸山方面は人影が無い。

踏み跡の薄い尾根の落葉を踏むと黄色い粉が舞う。黄砂とも花粉とも見えるこんな中を花粉症の人が歩くと大変だろう。花粉症じゃなくて良かった〜、今はアトピーは痒く無い。背の高い樹木の多い尾根では花見は無理である。見上げると、ピンク色の雲の様な山桜は多い。しかし真上を見上げて山歩きは難しい。ダムに降る尾根に乗り、陽射しの中の桜の下でお昼ごはん、この木はいまだ蕾である。

お昼の間に体が冷えた、風は未だ冷たい。蕾の多いサクラの下ではミツバツツジがほぼ満開。しかし未だ硬い蕾も残っている。ヒカゲツツジは残念ではあるが、サクラとツツジはこの先1週間ほど咲くだろう。林床は落葉の他に何も無い。鋭い頂角を見せるお山は黒頭峰だ。


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