■ 加東市・大坂山-続完結編
・・・・2023年03月19日
2023.3.19

再び大坂山界隈。界隈と云うのも、興味の対象は西側の池から廻谷に続く谷筋にあり、時間があれば再び大坂山を目指す予定。前回同様、私有地の手前に車を止め、ナズナの咲く畦道でまず一服。する間に後続が現れ、ザックから覗く山標らしき物体、お話を伺うと相当な山やさん、今日はお仲間と大坂山東側の加東アルプス最高峰に標識を建てると仰る。大坂山の山頂整備もこの方々の仕業と知れた。登山道の整備はしなくも無いが、それを目的に歩いた事は無い。お節介はほどほどを旨としている。

登山口を過ぎ枯葉色の草地を拔け、右上に延びる舗装路を降ると明るい川原に出た。見上げた位置に巨大な堰堤、直ぐ下に滝がある。堰堤まで登り、青い湖面を見ながら右に歩いて排水口を越えると先の舗装路に抜けた。舗装路の右上にはバリカン剥げが続く。ここから登ると廻谷の探検が出来ない。先へ歩くと目の前の池の上に奥に延びる次の池を発見。やはり歩いて始めて解る事がある。やれ嬉しや。

池の左手へは排水口があって不通、目の前を少し登ると池の奥に伸びる道らしきものがある。笹と鹿の足跡のルートはダニも多い。ダニは落しながらでも歩く事が出来る。湖面まで降りたルートは水面すれすれ、上は激藪で他にルートは無い。草生す靴幅ほどの踏み跡の横は見える限り水深は1m以上、落ちると不味い状況だ。昨日の雨を集めた池の水は多かった。

危険地帯を抜け、増水で寸断された箇所を幾つか越えて、最後に大きな砂防ダムを越えると廻谷の入口である。かなり広い平坦地だ。そもそも周辺の尾根の標高は300mほど、従って空も広い。ここで丹念にダニを払い、地理院地図に示された点線道を探すと案外に確りした道型が残っていた。人の踏み跡より鹿と猪のものが多い。

ここから標高差の殆ど無い谷道を歩く。ところにより広くなった辺りの流れは2つに別れ、水の少ない方を辿ると1つになる。時には、前方の川原にやや小さな野ウサギなどもいたり、背の高からぬ林の谷底は明るい。全体に広い谷底の一角に石積みなどが出て来ると妄想の虜だ。石積みは未知の遺跡などを連想させ、遺跡は今も眠るお宝へと繋がり、アホかいな!。

前方にやや傾斜らしい傾斜が見えて来たところで右上に延びる巡視道を確認した。ここで谷を捨て、巡視道を鉄塔まで登る。陽射しの中は暑かった。鉄塔から見下ろす冬枯れの樹木に覆われた谷底、大量の水の流れる緩慢な世界は全く見えず、まるで夢現の世界を歩いて来た様な錯覚を覚える。顔を少し上げると直ぐ先に人の世界があり、霞む淡路島の見える光景の中である。

2つ目の鉄塔から峠に降り、やはり興味は廻谷、源頭部が見たい。北側への降り途は薄暗い杉林の中、カケスなどがギャーと鳴けば時代劇さながらの雰囲気、そんなところへオフロードバイクの登場は興醒めだ。薄暗い杉並木が切れたところで谷川を渡り、明るい陽射しの中でエネルギー補給、12℃の林の中は冷える。この谷の水は北へ向って流れている。地図を見ると廻谷の北側の谷であった。今日な何やら貴重な体験をした様な気がする。山歩きなら充分な余韻である。


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