■ 丹波・烏帽子山
・・・・2023年03月04日
2023.3.5

暖かくなり始めるとスプリングエフェメラルなどと呼ばれる早春の花の噂が気に掛かる。フクジュソウはポンポン山でお目にかかった。セツブンソウは青垣辺りで対面するのが恒例である。運動を兼ねているからお花を鑑賞した後は裏山を徘徊するのも恒例だ。

狭い橋を通り加古川を渡ると採石場から出て来るダンプカーの通る道の先に生き物ふれあいセンターがある。生き物とふれあうのが目的ではない。夏場などは山ビルとのふれあいも可能なようだが遠くから手を合わせる程度に止めている。夏場は山ビルだがこの時期にはセツブンソウが顔を出す。これを目当てに寄せて貰ってはいるものの、こうダンプが多いと春の妖精の有り難みも薄れてくる。

広い駐車場は有難い。妖精をひと目見ようと保護地に移動しかけたところでハイカーらしい皆様がお着きになった。春の妖精も些か元気が無い。少し遅かったかな。後続の皆様は籔に続くセンターの庭を前に地図とにらめっこだ。今の内に、と勝手知ったる庭の道を一目散、登山口の東屋に着いた時には早くも息が切れる。直ぐ先の尾根上の水溜りにはヒキガエルがわんさかいたものだが、忍び足で近付いて見るともぬけの殻、狂乱は終わったあとだ。僅かな濁り水で様子が分かる。

緩い尾根ルートの筈がけっこうきつい。低い山でも一気に高度を上げるルートは厳しい。しかしながら、この程度で参っているようでは情けない。一昨日辺りに降雪でもあったのか、湿り気が残っていてよく滑る。滑るルートに先行者の靴跡が鮮明に残る。賑やかな後続の声が聞こえて来た。山頂直下は特に厳しい。辿り着いた城跡に吹く風は冷たく、採石場の騒音は辺りに響き陽射しも無い。

麒麟は既に過去の事だし、つわ者どもに思いを致すこと無く直ぐに東に降って梨木峠を目指す。後続が直下の斜面に取り付いた様子だ。急斜面を降りながら、見渡した空に生き物の姿は無い。過去2回、クマタカと遭遇した場所である。東尾根は古い踏み跡の残る快適なルートだ。恐らく戦国以前からつい最近まで、長く使われた道だろうと思う。その道も愈々終焉を迎えていて、痕跡の残る辺りは凡そ半分。明るい尾根のマンサクはほぼ満開だ。

梨木峠に降るのもひと苦労。谷川に掛かる古い木橋の真中は陥没している。川を渡って陽射しの道を歩くとダンプカーの音が辺りを覆う。帰り道、篠山の金山の麓を覗くとセツブンソウはほぼ最盛期、アズマイチゲと雪割りイチゲは店仕舞であった。


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