■ 京都西山・地蔵山
・・・・2023年02月05日
2023.2.6

先週は雪が多くて、その上酷く冷えた。結果、やむを得ず転進と云うまやかしの言葉を使って誤魔化した。で今週はどうか、冷え込みは相変わらずだが雪の増援は少なく、大寒を過ぎた日中の陽光で幾らかは消滅した筈だ。お山の雪が減るのは本意ではないがやむ終えない。

さて、谷間に続く狭い国道の一部に雪が残り圧雪は凍り付いてピカピカだ。急ブレーキ急ハンドルには十分注意しながら越畑に辿り着いた。思っていたように道路脇は雪の壁が残り、いつもの駐車地には止められない。こんな時は区役所出張所の駐車場が使える。ご了承を得ての駐車ではないから出来るだけ隅に止め、スパッツを着け用意の整ったところで登山者用の駐車地を確認したところ活きているではないか!。しかし今更ね〜、申し訳ないが今日だけお願いします、と手を合わせて出発した。背後にお叱りの言葉は無い。

雪と氷の道は思いの外歩き辛い。迂闊に足を置くと克く滑る。チェーンスパイクがあれば心強いが須らく用意があるのも面白味に欠ける。ヒヤヒヤしながらジープ道に着いた。今日のものでは無かったが往復分のタイヤ痕と往復分の踏み跡が2つ。久しぶりに登るジープ道は厳しい。雪の影響はほぼ無い登り、寧ろ雪のお陰で登りやすい。斜度が緩む地点からは綺麗な雪景色が広がり、しかし雲が多くて暗過ぎる。もっと光を〜と叫べども神仏には届かず、代わりに強風が吹き出して汗が冷える。

樹木の影に隠れるべく、近道でスキー場跡地に降りると風は吹かず尾根には確りした踏み跡が出来ている。やれ有難い。地蔵山への尾根の馬酔木は雪の重みで垂れ下がり、迷路の中に踏み跡が続く。昨年の枝払いどころでは済みそうになく、出したノコギリはそっとしまって、迷い込んだジャングルのぽっかり空いた窓からお山を見ては方向修正。旧反射板の下で一休みしながら考えた。

昨年もお地蔵さんまでの僅かな距離に多いに苦労した。雪は少なくとも今の馬酔木の状態はあれより酷い。歩く人は恐らく無い。では、ここらで引返しても同じではないか。滝谷に下降した痕跡も無い、あるわけないか。ここまで出会う人は皆無で空はやはり暗いのだ。と、ここで勇気が囁いた。そんな中だからこそお地蔵様のご利益があるぞ、う〜ん、行こう!。

地蔵山ピークの手前で単独男性が降って来られた。三角点の前で休むアベック、西向地蔵さんに向って足跡が1つ残る。妙に暗さの際立つ光景だが、二番煎じではご利益は無いかもな。馬酔木と杉と防鹿ネットの隙間をすり抜け辿り着いた西向地蔵様、雪に埋まったお姿を想定していたのだが案外に涼しい顔で佇んでおられる。足もとは雪の中だがおみ足が隠れた方がらしく見えるからこれで良い。1年ぶりの挨拶を済ませエネルギー補給。空は愈々暗くなった。

1人分の足跡は芦見峠へ続いている。ここからが積雪時の核心部、馬酔木の林と雪が織りなす密林を抜けるのだが、先行者は果たしてどんなルートを辿ったのか。エネルギー補給を終えたので何でも来いだ。お地蔵さんにまたねと挨拶をして反射板跡地を後にジャングルに突入。先行者は小さい人であったのか小さな隙間を抜けている。他のルートは探しても無い。雪の匍匐前進とは、八甲田山でもなかったろう。

どうにか革新部を抜けたところで登りのアベックに遭遇、この先大変ですよ、と云うと、え〜今までだって苦労したのに〜。登りではキツい斜面も降りでは楽、雪があるから踏ん張りも効く。快調に飛ばして芦見峠に降り、新たに設置された防獣柵を抜けて越畑に降りた。集落では、2〜3人の方が雪掻きの作業中だ。雪の山野を歩き回る元気で、作業の肩代りが出来たらさぞ喜んで貰えたろう。ちょっと眩しい光景であった。


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