■ 京都北山・中山谷山
・・・・2022年10月29日
2022.10.30

1年に一度は行かないと申し訳無い気持になるのが芦生と大峰だ。気圧配置は西高東低の冬型だから北部は曇天で山岳部では雨もある。大峰は後に回しても芦生は今週あたりが紅葉の最中、お山の実りも待っているだろう?。大阪平野はよく晴れて温かい。美山に入ると濡れた路面の続く時雨空、予想した天候とは云いながらテンションが下がる。自然文化村には朝早くからテントが立つ、その元気で円安も止まらんものか。

五波谷入口の家には新入りの子犬が増えた。今年の農作業は完了なのか人の姿は無い。旧ビレッジライン途中の膨らみに車を止め、降った冷た水谷に落ちる尾根に取り付く。中山谷山から五波峠を経て周回する予定だ。それにしても谷の両側斜面の厳しいこと、こんな斜面を登らなくても、素直に峠まで車で登れば楽して紅葉も見えるだろう。腹のへそは曲がってはいないが、こんな事に血道をあげる精神はとても素直とは云えない。灌木の小枝にしがみつき、肩で息をしながら上を見上げてそう思う。

鹿の痕跡と同時に山ビルの姿も消えた。有難い事だが何だが張り合いが無い。塩と防虫スプレーが不要になった。隣の尾根との出合いに乗って一休み、目の前の木々の葉はほぼ黄緑色、何とか色付いているのはマンサクだけだ。雪解けに合わせて奥ゆかしい花を付け、秋には先駆けて色を付けるマンサクは義理堅い木だ。鄙びた名前もなかなかに良い。

時に覗く青空と黄緑色の葉は結構マッチして美しい。が錦繍とは云えないから今年の紅葉はダメ、北の黒雲の下はもう冬だろう。一服したので先に進む。何やら前方の林で幼い動物の鳴き声が聞こえる。鹿猪の子なら歓迎だがクマの子は母親の悋気が恐ろしい。ジッと聞いても判断が難しい、ここは笛を吹いて追い払う他無い。暫く笛を吹き、声の移動を確認して前進、激登りの上の庭園はクマのよく出没する所で、肩で息して笛を吹く。辿り着いた庭園の、朝方の雨で湿った土に残るクマの足跡、やっぱりいるぞ!。

ここまで登ると後のルートに厳しい斜度は無い。しかしクマに注意しながらの前進だ。紅葉は少ないが林床に落ちたウラジロの実などを見ると今年の実りはまずまずと見た。クマの出没はその証拠だ。繁茂するアセビを切払いルートを作っての前進だが、歩くのはクマと鹿だけかな?。目指す中山谷山の南尾根に乗ったところで強烈な北西の風がまともに抜ける。甚だ寒いので早足。気温は5℃でピーク辺りの樹木に葉は無い。

ピーク界隈を多少彷徨く予定であったが寒さに負けた。峠が近付くと流石の風も大人しくなり、峠からは余裕の降り。怪しい構築物を発見して確認したところ、クマの生態調査であった。鹿の死骸が一体、崖下にあったのはカモシカに憧れたシカの末路か。肥沃な山野を飛び跳ねる夢を叶えたシカである。


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