■ 多紀アルプス・鍔市ダム〜小金ヶ岳
・・・・2022年10月15日
2022.10.16

近場で人が少なくて秋らしい雰囲気の出来ればお土産の1つも持たせて貰える歩いて楽しげな山岳、というような贅沢な望みを叶えて貰える様なところは何処?、と人に聞いたら怒られる。そんなところがあるなら人に教える前に自分で出掛ける。芦生は候補だが未だ山ビルの季節で、周到な対策が無いとお土産どころか献血を求められる。

篠山の鍔口ダムからの尾根歩きは、クリンソウの終る時期に1度歩いた。男性用トイレの中は水浸しであったが、手の混んだ施設などの無いまずまず雰囲気の良いところであった。秋の篠山と云えば、道の至るところで店を開く黒豆販売所が名物。枝豆と云いながら、株に着いたままの豆を売り買いするのだから、流行りもここまでくると凄い。

ススキの細い道を登ると鄙びた感じのダム湖に出る。何やら人の姿が目に着く。釣りかと思っているとトイレの前に陣取るアウトドア用椅子とテントが数ハリ。次々と訪れる方々の目的はテント泊、流行りに流されやすい国民性の面目躍如といったところだ。豪奢なテントは持たないので、賑やかな皆様と別れて廃林道を歩くとアケボノソウがにっこり笑う。

廃林道は今やクリンソウの花壇状態、一見すると菜っ葉に似たクリンソウの葉でほぼ埋まった路面が続く。廃林道であるから道らしいところは少なく石ゴロゴロ、泥の流れた綺麗な川のお陰で谷底は明るい。オオタワへの道は路肩崩壊で不通らしい。大雨の功罪である。左・小金ヶ岳の標識で左へ折れて杉の植林の中を畑山へ向う。

林床のクリの殻の傍に実は無い。ネズミの食痕を残すものが1つ、落ちると忽ち争奪戦かな、ドングリその他の実は見なかった。畑山から小金ヶ岳のルートは岩場が多くて南向き、雲の少ない今日はとても暑い。今日は暑くて冷たい風の吹く日である。昔のルートは人任せ、木の枝岩角を頼みに登る事もあれば岩尾根を直登する事もあった。ルート表示や鎖場などが設置されてから後はルートが定まったのか踏み跡が無い。

登山道を真面目にトレースするだけでは得るものが少ない。お土産はどこだ〜とルートを外して灌木の中を右往左往する姿は獣と同じだ。ガマズミの赤い実より山ブドウが欲しい。大岩の上で汗を拭いているところへソロが降って来られた。汗が無い。小金ヶ岳ピークに登ると北を向いて休息中のソロの男性。オオタワ方面に人影は無い。北の背後に霞むお山は青葉山だ。

小倉タワへ向けて右へ降る。そんなに降ると登り返しが〜と思うくらいに降ってやっと止んだ。それにしても尾根のルートは克く整備されている。近年のものではないから千年の昔の産物だ。中には大岩を積んで作った道もある。樹木に隠れた尾根ではあるが、両側は崖状の地形の続く細尾根だ。落ちたらエライ事になりそうな場所が多い。探しものとは無縁であった。

岩場だけを写せば「なんちゃってアルプス」と人の表現する岩場目指して歩く道中、腹が鳴る。エネルギーを失えばなんちゃってもアルプスも無い。風の抜ける明るい岩場で補給開始、木陰は寒いし日向は暑い、立って食べるのがちょうど良い。食後、少し降って登るとなんちゃってに着いた。ここも猛烈に暑くて早足で通過。

小倉タワが近くなると植生が変わる。岩場から沖積土の多い地形に変わる事で植生が変わるのだ。植林に変わる前に今一度お土産探し、あ〜無情。小倉タワから殆ど痕跡さえ止めない廃林道を歩いて周回終わり。佇むカメラ抱えた男性が1人、谷底は黄昏である。河原のテントは更に増え、中には別荘と云っても良い様なものも立ち並ぶ。都会からは離れても、ご近所付合いは続くのだ。


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