■ 中国山地・三瓶山
・・・・2022年10月08日
2022.10.10

前回は三瓶温泉に車を置いて、孫三瓶の山腹を歩いて小三瓶の肩からお山に入った。今回は西の原から男三瓶に延びるルートを辿り、カルデラに降り室内池を経て西の原に帰る予定だ。西の原に着いた時点で雨の心配はほぼ無用、やや強めの風が抜けるススキと芝生の原に陽射しがある。2〜30台止まる車はほぼ県外。

登山姿の方は他に無い。「定めの松」が登山口、何の定めか由来を見ると銀の道の里程表とある。あくまで銀にこだわるところは流石に世界遺産、植樹は1601年と明記してあるから樹齢は420歳以上、堂々たる古木ではあるが痛みも相当ある様子。お山へは芝とススキの途をゆっくり登る、振り返ると日本海。水平線の左肩が上がって見えるのは面妖な事だ。大江高山火山群が格好良い。

牧場であるべき草地に家畜は無し、降って来られたのは背の高い登山姿の白人であった。草地が尽きるとカラ松の林に代わる。ルート出合いで今日の成果を確認し合う若者2人、何やら軟弱な事を云いあっている。ここで左に折れると男三瓶への尾根ルート。明るいカラ松の林が続き猪の狼藉は多い。鹿は多くないのか痕跡が無い。

カラ松の林が切れるとカルデラを一望出来る尾根に出た。リュウノウギクの咲く良い雰囲気の岩尾根が続く。降りの人が多くなり時計を見るともうお昼過ぎ。赤いヤマグミの実を口に含むとなかなか美味である。岩尾根を越え山頂の笹原を歩いてピーク広場、今日の山頂は人が少ない。お陰で、エネルギー補給は島根県北部の展望の中、しかし眺めは県内に限られ、大山は鳥取側の許可がいるのだ。

長居をすると冷えて来る。女三瓶に向けて降る道中、やや剣呑な辺りで遭遇した腰の曲がったおばあちゃん。ダブルストックでよろめきながらも登って行かれる。達者なものだ。ケーブル乗場の上からカルデラの底に降りた。落葉樹の林と池のあるカルデラの底は思いの外深い。登り返しは結構なアルバイトである。

昔見た細い樹木は立派な木々に変わり、ドングリ・栗などの転がる豊かな森に変わっていた。が、その益を引き受ける動物は少ないらしい。室内池の水のPHは酸性で鳥地獄などと呼ばれる火山性ガスの噴出する場所も残っていた。池の周りの木はほぼカシワである。カシワの葉とドングリ・栗といえばカシワ餅はどうだろう?、トチ餅には栃の実が要るのだ。

やや急ぎ足で登るお鉢の縁は想定した厳しさ、孫・子三瓶を省いた付けは払ったつもり。降った西の原から見上げた空の広いこと、雲一つ無い快晴の夕暮れが待っていた。でも風は冷たい。

後学のため、近くの縄文の森ミュージアムで埋没林を見学した。埋もれた4000年前の大和杉に圧倒された。芦生杉が大きいといっても樹高5〜60mは無い。一見に値する古代の樹木である。


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