■ 中国山地  道後山
・・・・2022年09月17日
2022.9.19

猫山の北側にある道後山、周辺には同じような標高の山が聳え、聳えるというより並んでいる感じ。准平原地形をもっとも克く体感出来る地域である。標識に沿い、細い道を詰めると途中からは立派な道、現役か引退か不明なスキー場を過ぎても細くなった道は続く。着いたところは月見ヶ丘、居心地の良い駐車地である。

台風のお陰で強い風、秋のような光景ではあるが気温はやはり夏、駐車場の周辺に咲き乱れるマツムシソウ・ウメバチソウには驚いた。見上げたところに盛り上がる岩樋山(いわひやま)・道後山に向って歩き出す前にお花があるのは不都合である。お花を探して三千里のマルコであるから面白い。先行する方々はけっこう多いようだがそこのところはどうなんだろう?。

歩きやすい樹林の道を辿ると足元に散乱するシバグリ、周辺樹木はほぼ栗である。無視して歩けるほどは育ちが良く無い。ついつい手を延ばして拾い始めると際限が無い。後続もある事だから旨そうなものだけに限定した。後続の若者アベックは1度も手を降ろす事なく抜き去って行った。ジェネレーションギャップは季節の味覚にも及んでいる。

栗が少なくなったから真面目に歩こう。真面目に歩くとコンクリート製の休息小屋がある。真面目に歩き出したばかりだからここは無視、やや登ったところで途が別れる。右は道後山、左は岩樋山を経由して道後山だ。既にお花は堪能してはいるがここも真面目に岩樋山ルート。植生はイチイなどの針葉樹に交代。ダイセンキャラボクの実は甘かった。少しばかり色の良く無いイチイの実は残念ながら旨く無い。充分に熟成していないから止む終えない。

岩樋山の藪の稜線を見ると綺麗な石積がある。タタラ等との関連のある遺構か?、と調べて見たところ、明治期に作られた放牧用の柵らしい。鳥取・広島の県境に沿って作られたとある。石積の北は鳥取で南は広島、一歩で県境を跨ぐ事が出来る代物だ。皆さんにはどうでもよい事らしい。イヨフウロなどの咲き乱れる中、下界への展望を楽しみながら、件の石積を越え岩樋山のピークに着いた。

ピークからの展望は全周囲、遮るものは台風の雲ばかり、雲の下の光景はむしろ迫力がある。道後山の左肩に東屋が見えた。あそこまでは歩いてやろう。賑やかな声と同時におば様方の集団が到着した。道後山へ向って山頂を降り、膝まで位の笹の波を歩くと奇妙な目眩が起こる。船酔いに似て遠くを見ると直ぐに収まる。ルート上に岩が出てくるとアカモノに似た白いまんまるの花が沢山ある。シラタマノキと云う、まことに美味しそうな花である。

手前のピークを越え登り返すと道後山、しかしここへ来て天候がよくない。強い風にガスが混じって雨粒が付いて来た。東屋は諦め、道後山ピークから直ぐにピストン。岩樋山を目の前にして未踏の大池コースの標識がある。それによれば、この先の大池は砂鉄を分別するために使われたと云う。池に惹かれて行ってはみたが、藪に飲まれて池らしいものは見無い。湿地と藪の中の小池くらいは残っていた。暇があったら詳しく調査してみたい対象だ。


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