■ 京丹波・三埜〜長老ケ岳
・・・・2022年07月23日
2022.7.24

天気が良くないので遠くへは行けない。天気の回復を待つのは何もしないのと同じだ。梅雨明け宣言の後の天候は地域によって大いに異なる。1日も安定しない天気を予想しろとは無理難題に等しい。晴れ間が見えれば暫くは晴れの予想、曇ってきたら雨の予想に切り換える。美山町三埜の天気は雲は多いが青空も覗く。午前中は晴れの予測で長老さんへの尾根歩きをしよう。西谷から見えた、尾根上の案内板らしきルートを辿りたい。

三埜は鄙びた雰囲気の、広い谷間の明るい集落だ。有名どころの某村よりよほど見るに値する。その集落に入って直ぐの辺りに長老の尾根が延びる。地理院地図に明記されたルートで皆様の記録に無いという事は、酷いルートの可能性もある。歩き始めに林道を少々、夏草に埋もれた道の傍で時期外れのモミジイチゴを見た。モミジイチゴにしては酷く毛深く、だいいち周辺の様子は芳しく無い。後で調べたところフクロイチゴ、別名コジキイチゴと云う絶滅危惧種とあった。毒ではないそうだが毛の生えた野いちごは食べたくない。

取付きの様子が芳しく無いので、少し戻って暗い谷間に入ると長らく放置された小屋跡などの残る湿った暗い植林地。正面は厳しい斜面で朝からこれを登ると思うとやるせない。他に登りやすいところを探すと落葉に埋もれた道型がある。道型を辿ると明るい尾根に出た。地理院地図の点線ルートに間違い無い。落葉・枯枝に埋もれ、ほぼ踏み跡の無いルートだが巾は広く、牛・荷車も通ったと云う比良の古道に引けを取らない。

倒木などにはノコギリの跡が残り、時には整備の手が入る事もあるらしい。今日は曇り、湿った落葉を混ぜ返すイノシシの狼藉の跡はどうも嫌なものだ。急斜面を避けたルートは歩きやすくはあるが長くなる。展望などがあれば慰めにもなるが二次林の何処にも隙間が無い。時々明るくなるのは細くなる尾根のお陰、風もよく入り涼しい。気温は20℃ばかりで暑くはない。地図によれば西谷ルートとの出合であるが痕跡は無し、急斜面を登ると深い森に変わった。同時に古道の道型も無い。

広い森を1キロほども歩くと音海ルート出合いである。赤いマーキングや道標などがあって急に賑やかになった。カエル岩や音海展望台などの案内板もあり、変哲の無い岩がカエルに見えなくもない。林床にはイワカガミとイワヒメワラビ、すぐ先のピークが長老さん。ここは884ピーク、木漏れ日を探してエネルギー補給、気温は17℃、汗が冷えて寒い。長い尾根歩きで13時である。

ピークはここから拝んで音海周りで周回しよう。最後は地道が2キロほど。音海コースはほぼ急斜面、高校生が整備したというくの字ルートが続いている。音海集落が近くなると植林の谷間は須く古い耕作地、予想に反して、今に残る戸数は数えるばかり。思いのほか、長い道を歩きながら考えた。世界遺産である前に、観光地以外の手段による、文化遺産の保全はできないものか。


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