■ 中国山地 猫山・比婆山
・・・・2022年07月16日
2022.7.18

随分むかしの事になってしまったが、猫山の麓は思い出に残る場所のひとつだ。細い道は広いしっかりした道路に変わり立派な橋の架かる光景に変わってはいたが、地形までは変わっていない。残念な事に、橋のたもとにあった筈のお地蔵様の姿は無い。お地蔵様であったか小さな祠であったか曖昧な記憶だ。

北側に周り込むと、人気の無い猫山スキー場に出た。猫山登山道は地理院地図には記載が無い。雨のパラ付く中、少し走ると登山口の看板と広い駐車場があった。無人かと思うと先行車は3台、雨に濡れ、泥にまみれた皆様が下山したところである。近くには道後山・比婆山など、中国山地でもそれなりに知られたお山がある中で、早朝から、雨模様の猫山に登って泥塗れとは。

実は、猫山は知る人ぞ知る花の山らしい。噂に惹かれてやって来たひとりであるから、これは歓迎すべき光景である、加えて人が少ない。少ない人も今は去り、お山は貸し切り状態で踏み跡は真新しい。先ずは樹林の細い踏み跡を辿る。時々右手の林が明るくなるのは並走するゲレンデだ。ゲレンデの登りは薄日の射すこんな日でも暑い。ゲレンデの最上部を過ぎたところからトラバース道が続く。傾斜がややキツくなって来たところでの山腹道は有難い。有難くはあるが、地図をみるとあと300mも登ればピークである。なんとか藻掻いても登れる範囲。笹が濃くてルート取りが困難であったか岩場でもあるのか。

小さな谷川を2つ越え、古い、ほぼ倒壊した祠を過ぎると山頂に続く尾根に乗った。斜度は相当に厳しく、暗い樹林の中の泥濘む藪のルートに滑った跡が鮮明に残る。見るものと云えばヤマアジサイくらい、ほんとに花のお山だろうか?。斜度が緩んでやっと辿り着いた山頂は樹林の下の大岩の前、岩の上から見える光景の中にお花は無いのだ。電波が無ければブツクサ云いながら戻るところ、が幸いな事に電波が届く、皆様の軌跡は山頂の南に続いている。

笹の踏み跡を南に辿り、小さな瘤を超えると目の前が拓けた。始めて下界への展望が可能になった。やや狭く、灌木に蹂躙されそうな草地ではあったが、お約束のお花畑は確かにあった。が、今にも本降りの雨になりそうな空の下、時間に余裕は無い。先ずはイブキジャコウソウ、ギボウシ、ユウスゲ、イヨフウロ、お目当てはここでしか咲かないというヒメユリだ。

ヒメユリ探してあっちをキョロキョロこっちをキョロキョロ、灌木の中にはツタウルシが混じり注意しないと後が恐ろしい。そんな足元の不確かな岩と藪とウルシの中に踏み跡は続いている。1時間ほど探して諦めた。ヒメユリ探索には確りした備えが必要な事を確認した、来年までの課題としよう。下山の途中で雨が来た。雨は暫く降って大雨に変わった、早めに下山して助かった。

翌日は、広島県民の森から出雲峠・烏帽子山・比婆山を周回、吾妻山は今後の課題に残ってしまった。比婆山のイザナミの御陵は如何に記紀に基づくとは云え日本列島の開祖にしてはあまりにも質素、せめて比婆山周辺全てが御陵であるくらいには云っても良い。神々の望むところで山の保全にもなるだろう。


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