■ 両白山地・大日ヶ岳
・・・・2022年07月02日
2022.7.3

銚子ヶ峰から三ノ峰・別山へと続く白山禅定道、起点の石徹白登山口への道の工事は7月を待たずに完了したらしい。とても歩けそうにないようなら、上小池と云う反則だって選択肢。ここで前回の挑戦をちょっと反省、石徹白は10時過ぎての登山口、上小池については6時過ぎと云う絶好の機会であったにも拘らず、前夜の不摂生で体力の損耗激しく三ノ峰で頓挫した。同じ轍を踏んでは進歩が無い。郷に入らば郷に従い、もって平素の実力を発揮したい。実力あっての話だが、これを否定してはそもそもお話のネタが消失する。

石徹白への道を上り詰めると桧峠、日帰り温泉とゴルフ場と、毘沙門岳と大日ヶ岳の登山口が岐れるマルチユースな峠である。大日ヶ岳は前回、楽ちんコースで歩いている。ここにその、大日ヶ岳のちょっと厳しいコースがあるならこれを避けては行かれまい。禅定道のツユ払いくらいにはなるだろう。が、日本のツユは明けたところだ。

ツユが明けてから1週間、うなぎ上りの気温は40℃に近い。幾ら何でも桧峠でそんな気温はあるまいと云いながら、車載温度計の数字に戦々恐々、皆様の車で埋まる駐車地に降りての一声は「暑いぞ!」。歩き始めと同時に早朝組が戻られた、羨ましい。先ずは杉の林の中を歩く。木陰ではあっても風のない樹林の下は暑い。白い花を付けた夏草の葉に払いたいツユが無かった。

上の林の先が明るくなるとゲレンデ状の斜面に飛び出る。地図によれば尾根歩きだが、夏草を綺麗に刈ってあるところを見るとスキー場に関連するものに間違い無い。問題は延々と延びるゲレンデに木陰がほぼ無い事、南中してしまうと木陰は消える。ジリジリ照り付ける太陽は痛いくらいに強烈だ。

そんな厳しい斜面を黙々と登って行かれる人がいると思えばゲレンデに出たばかりで座り込む人達もいる。人生の縮図の様なゲレンデである。ゲレンデ脇にはササユリが咲きヒヨドリソウが蕾を付け、葉を繁らせた白樺が続く涼しげな光景、しかし陽射しの斜面は暑いのだ。視覚の不確かさと云う不条理。下の方で吠える若者の現実は変わらない。

リフト乗場の横でゲレンデは切れブナの木陰の風はヒンヤリ、是非ともコースの付替えを期待したい。せっかくの涼風も笹に遮られては恩恵が無い。笹のトンネルを抜けると暫くはブナの木陰、見えて来た鎌ヶ峰〜大日のピーク、涼しい木陰から眺めるとまずまずの山容。高速では見えていた御岳山はガスで見えない。高度を稼ぐとブナの木陰は後退する。代わって鮮やかな黄色の花のニッコウキスゲ、濃い色合のササユリなどが尾根から谷を埋めるようになる。

涼やかな眼差しで眺めれば素晴らしい。が、降って来られる皆様のお顔は一様に無感動、およそ表情と云うものがまるで無い。下方のブナの木陰で若者は吠えている。細尾根の南側はお花畑で来週頃には色も増え、より賑やかになりそうな様子。北側はこころ細い木陰を提供するナナカマドやダケカンバ、混じって小さな花を咲かせるオオヤマレンゲ。大峰の他でオオヤマレンゲを見たのは初めてだ。

僅かな木陰で立ったまま、冷たいものでクールダウン。酷暑ではあるが細尾根からの光景は感無量、人影の疎らになったお山を降ると午後の夏草の上で延びる若者、体温は寧ろ上昇するだろう。テンポよく降るゲレンデの長い事、3キロほどもあるだろうか。お陰で食欲はほぼ無し、駐車地の気温は34℃である。駐車地の傍に咲くオダマキもまた、大山の他で見たのは初めてであった。払うべきツユは少なかった、が露払いにはして貰おう。


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