■ 比良・大津ワンゲル道〜釈迦岳
・・・・2022年06月12日
2022.6.12

比良へは確か、明王院から登ってから以降随分ご無沙汰だ。あの時は、山ビルが漏れなく付いてくるサービスがあった。ワンゲル道に近い旧ケーブル跡の駐車地に着くと空きはほぼ無い。変わらない盛況ぶりに驚くものでは無いが、何がなし不人気のワンゲル道にも日の当たる時期が来たのだ。これは喜んで良い事象か悲しむべきか。水の多い谷川を越えるとやや控え目な踏み跡が残る。尾根に乗る辺りで合流するだろうと思った踏み跡はやはり多くならない。単独男性が1人、黙々と目の前を歩いて行かれる。その後ろ姿に溢れる哀愁、やはりワンゲル道は不人気コース、はぐれものの道だ。

と言う事で、沢山の車の方々は品行方正な方々であった。お陰でお山への途は今日も静か、でも無い。今日は西風の強い日である。にも拘らず東にあたる琵琶湖の上からエンジン音が絶え間なく響く。昨日の雨のお陰か強風によるものか、視界は極めつきに良く湖面の水上バイクの立てる白波さえよく見える日である。強いといっても山陰にあたり、風のお陰で涼しく歩ける。途脇に目を愉しませてくれる花などがあれば儲けものだ。割れ石などの累積する砦跡を過ぎると一段と細い岩混じりの尾根になる。ここまで来てやっと花影がひとつ、風に揺れるヤマツツジ。大岩を巻いて頭を上げたところで目眩がおきた。危うく2〜3m落下するところであった。ルートを塞ぐ倒木、あれは危ない。手持ちのノコギリには荷が重過ぎる。

ここからは気持ち良さげに新芽を伸ばすシャクナゲの途、今年の花付きの様子は杳として不明だが、シャクナゲの新芽の先に観える湖東から鈴鹿の山並。伊吹山の山頂部は雲で見えない。見え過ぎるのも考えものだからこれで良い。小さなタツナミソウなどが咲いているところを見ると鹿の影響力も減退期を迎えたものか。近頃は珍しいシライトソウが陽射しの中で揺れていた。

ここからがキツイ、崖の様な勾配を登り、イチョウガレを登って、久しぶりに歩くとかなり応える途であった。サラサドウダン・ベニドウダンの咲く尾根を詰めると単独男性の歩く旧ケーブル道と出合い、釈迦岳ピークからカラ岳の尾根に出ると猛烈な風、今日の気温は18℃、風速は恐らく15mほどだ。ゆえに寒い。カラ岳の電波中継所の陰でエネルギー補給、する間に冷えた手が痛い。

防寒着を重ねて北比良峠まで、歩くとやはり熱くてここで脱いで、冷えた手は血行が戻ってピリピリする。混雑する武奈ヶ岳へはまたの機会がある。そうすると降りルートだ。金糞峠まで行くと混雑する湖西道路が脳裏に浮かぶ。ダケ道を降るとスイスイの道が浮かぶのだ。折角の気分を害する混雑は是非避けたい。スイスイのダケ道は最初を除けば非常に良く整備された途であった。ちょうど倒木処理の方々が作業する中である。

清冽な水の流れる谷川で汗を流し靴を洗い、と、谷川に架かる小さな木橋を渡るまことに小さな影がひとつ。小さめのトカゲが橋を渡り、川向うの新天地を目指すところか帰り道か、木橋の利用者は人のみに非ず、小さなトカゲだって渡るのだ。


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