■ 両白山地・大日ヶ岳
・・・・2022年06月04日
2022.6.5

雪の消える時期を狙って石徹白へ、と情報を集めたところが大杉への道は6月一杯工事で通行止めになった。ジッと待つのは体に良くない、今頃が旬のお山を近くに探したところ、色々の条件を満たすお山は大日ヶ岳だけ。南側がスキー場の大日ヶ岳は安直に過ぎるきらいは残るものの、行ってみなければ分からない。

高速をひるがの高原で降り、地図を片手に登山口へ向うと閑静な別荘地、無断侵入禁止の看板を見てUターン、改めて別のルートで向うと作業車が道を塞ぐ。やはりUターンして轍の残る空地に車を止めた。歩くほうが手っ取り早い。古い登山道の看板を頼りに歩くと先の別荘の前を抜ける。直ぐに路肩に溢れる車が見え、満杯の駐車場が上下に2箇所、人気のお山に驚いた。

道の先から登山道が始まる。やや季節を戻した様な広葉樹の林に明るい木漏れ日、人工林の無い登山口は珍しい。前後に人影は無く、ユキザサとヤマツツジの咲く歩き易い道を辿ると鉄塔がある。東の方がぽっかり拓けて、蒼天の中空に浮かぶお山は御岳さんか乗鞍か。頭を雲で隠すと何処の山だが分かりかねる。緩い登り途の前方に初めて衝立が現れた。こんなところも出て貰わないと最後にドンでは厳し過ぎる。

主尾根に乗ったところで左にターン、正面の空に文字通り白い白山と別山、白山の上に架かる雲が無ければなお良かった。ユキザサとツクバネソウの道に小さなマイヅルソウが加わって、賑やかな途、と言いたいところだが白い花は小さく背も低い。オオカメノキの花が出てきてやっと賑やかになってきた。待たれるのはサンカヨウ、濡れた花の半透明に変わっていく様子を観察したい。

ところが行けども探せどもサンカヨウの花が無い。「いっぷく平」と云う看板の立つ平坦地に着いた。かなり広くて、整列した石があるところを見ると古い建物跡だろうか?。ここから山頂までは3Kらしい。お目当てのサンカヨウの葉と小さな果実は見るものの、見頃の花が無い。やっと見つけた花一つ、流石に水をかけるなどと云う不届きな所業は慎まれる。岩の上で咲く濃いムラサキの花はムラサキヤシオ、パステルカラーの中のムラサキヤシオは存在感があり、見る者を落着かせる色彩だ。花の法力である。

ブナの林が尽きると湿地の気配の残る灌木の林を抜け、ミツバオウレンの群落の途を登ると展望所に着く。南側半分の展望に優れた岩の上で、乗鞍・御岳は目の高さ、眼下にひるがの高原が一望できる。展望所と言う事は、下山途中のお父様に教えて頂いた。ここで冷たいもので身体の冷却、山頂は一旦降って登り返した先にある。申し分の無い天気ではあるが陽射しは暑い。

元気を取り戻して登る最後の斜面、今年初めて見るイワカガミの花に加え、クマザサの途に終わり期のサンカヨウの花がちらほら。モニュメントの立つ山頂は、適正距離を考慮に入れるとお昼を頂く皆様でほぼ満員。北の空には雪の残る両白山地。お昼ごはんを食べた後、濃いササ尾根の先を辿ってみた。登山道は3つ、来る人去る人賑やかな山頂だ。惜しむらくは白山に架かる雲、雲の無いお山を見るためには、もっと早い時間に登る事が肝要である。これが一番に難しい。


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