■ 伊吹山地・横山岳
・・・・2022年04月23日
2022.4.24

梅雨のような天気図ではあるが12時間後の予想では本州中部はまずまずの山日和、少ない陽射しは寧ろ望ましい、と考える事にして、雪の消えた横山岳を歩いて来た。駐車地に向う狭い山道の片端に咲くバライチゴの白い花、関西で見なくなったが記憶の春はこうなのだ。

白谷登山口の小屋の前に車は4台、山慣れた感じのおっちゃんおばちゃん登山隊がコエチ谷に向って歩き出したところだ。道を挟んだ広い駐車場に車は無し、草生す辺りに黒く残る焚火の跡、ここでの車中泊は焚火付き?。谷筋の残雪も随分少なく、ピーク辺りはガスで見えない。少々間を開けて同じくコエチ谷に突入、綺麗なヤマブキはほぼ満開、イチリンソウは咲き始めだが鑑賞するには充分な数、谷の春は賑やかだ。

鳥越峠に響く登山隊の声を確認して取付開始。厳しい斜度のあちこちに咲く春の花、期待した花は遂に見ないで墓谷山の尾根に乗った。今日は身体の調子が良い。西の空を覆う怪しげな雲、シトシト降る雨は春の代名詞である。鳥越峠から見上げる三高尾根の厳しい斜面、既に人生の大方が決まり、今更何が望みでこんなアホな事をするのやら、先行者の方々にも是非伺ってみたいものだ。

息も切れるし溜まる乳酸で足はだるい、がやはり今日は調子が良い。調子が良いのか陽射しの少ない天気が良いのか、兎に角休息を挟む事もなく緩斜面に登り着いた。この尾根の主体は下はケヤキで上はブナ、コエチ谷の主もケヤキで同じ、が鳥越峠を境に林床の植生は異なるのだ。ヤマブキはあるものの数は少なく、緩斜面まで花は少ない。ここからはイワウチワの続く尾根にカタクリ・ハルリンドウ、山頂近くでヤマシャクヤクが現れると云う、実によく出来たルートなのだ。

緩斜面からはルートの整備もよく行き届き、展望もさぞ良くなったであろうと思われる。今日のところはガスで展望はまるで無し、樹木から落ちる雫が増えて来た。ガスに煙る山頂からカップルが降りて来た。先の登山隊の声は全く無い。愈々山頂となってからも斜度は厳しく距離も長い。良かった筈の身体から「忍」の一文字が消えかかる頃、際どいタイミングで山頂に到着。

無人で暗く、雨のように雫の落ちる山頂はパス、視界の無い東尾根までの雪の残るルートは歩き辛く、何度か間違えながらも見覚えのある岩尾根に着いた。傍のマンサクは異常に見えるほど今が満開、コブシの白はむしろ鮮やか。ガスの流れる山頂は寒い。展望の無い山頂を後に東尾根を降り、一面のイワウチワの中にオウレンの混じるブナの林に降りてエネルギー補給。パンを頬張るすぐ横をコガラが飛び前の小枝に止まった。パンを差し出しても見向きもしない。暫く側にいて去っていった。もう少し上手にやったら手に乗った?。

周辺に残る雪は僅かで2週間で1〜2mの雪は溶けた。1日10cmに相当する事になる。やはり900mの尾根を降ると暖かくなり1枚脱いで良くなる。東尾根登山口まで降りるとイチリンソウの咲く春の光景、下界の天気は悪く無い。白谷登山口まで戻ると谷ルート入口に警告が出た。曰く「雪崩、崖崩れで危険」


CGI-design