■ 丹波・佐仲峠〜三尾山〜鏡峠
・・・・2022年04月17日
2022.4.17

この時期の多紀アルプス界隈は、ヒカゲツツジ目当てのハイカーで一杯、だろうと思われる。そうではあるが、そのヒカゲツツジを見たいのだから、空いていそうなところを慎重に選ぶ。佐仲ダムの周回道路に太公望の車があるのは春夏秋冬かわらぬ景色、最奥の駐車地はハイカーのもので、既にある車は3台、うち一台の車の前で、人待ち顔の若者が一人。用意の間に3台も増えた。

歩き出したところへ待ち人の現れた若者の集団は5人ばかり。そばのサクラはほぼ葉桜、花びらを敷き詰めた道は贅沢な絨毯である。未だ薄いパステルカラーの夏栗山の山ザクラもほぼ同様、山頂辺りは濃く見えるから花見も可能な状態だろう。舗装道路から山道に入るとミツバツツジが一際明るい。やや軽薄にも見える色ではあるが、色彩にかける景色の中で有り難い賑わいを与える。峠のお地蔵様とは1年振りかな?、挨拶をしたところでツツドリの初音を聞いた。今年初めてきくウグイスやホトトギスの声を初音と云うらしいからツツドリは間違いなく初音だ。ツツドリはホトトギスの仲間である。陽射しは強力ではあるが気温は7℃、温かい南方から来たツツドリには気の毒な寒さ。

「麒麟が来る」で整備された三尾山への登山道は克く踏まれている。目の前を歩くダブルストックの女性の歩みは力強く、歩みではちょっと負けたが周辺地理を教えたので引分判定で良しとしよう。賑やかな若者グループの気配は何処にも無い。尾根に這い上がると岩山の上に形の良い松をあしらった三尾山が目前だ。絶壁の岩の前にはお目当てのヒカゲツツジが咲いている。三尾山へは一旦下って登り返すと古城跡の山頂である。そこを登る人降る人、こりゃ〜三尾山はここから眺めてお終いにして、本州分水尾根を鏡峠に歩こうか。この先の岩場にもヒカゲツツジは咲いているのだ。

踏み跡ばかりは多いものの人っ子一人居ない分水尾根は静か、岩場がある限り、絶壁の直ぐ上辺りでヒカゲツツジは満開だ。しかし見事に住みにくいところばかりに咲く花である。この種の棲み分けは一部の植物で散見するものだが、どのような契機でそうなったものだろう。単独の女性が前から来られ、後方からのざわめきも聞こえて来た。降ったところは鏡峠である。谷に木霊するツツドリの囀りが調子良く聞こえる。気温は13℃に上昇した。

鏡峠を越えると人の気配も随分少ない。鋸山辺りのヒカゲツツジも人気の筈だが、ハイカーに代わってトレラン男性が降って来た。こちらの林の木は太く、ゆったりした雰囲気の森である。大きな山ザクラも多数あって今が盛り、風に舞う花びらの中を佐仲ダムへ降る尾根を歩く。日盛りのミツバツツジの咲く辺りは、ナナカマド・タカノツメが小さな葉を出し始め、山ザクラと同じ葉色でサクラ色の芽鱗を撒き散らすカエデ、春山の主役を競うようにも見える光景だ。


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