■ 播磨・千ヶ峰
・・・・2022年03月20日
2022.3.21

早朝には期待した青空と陽射し、いつの間に曇天に変わって、フロントガラスに小雨の当たる空模様、遠くのお山は雪雲の下に霞み、近くのお山の8合目くらいから上は新雪で真っ白、春に時々ある幸運な日だ。温かくて雪景色を目の当たりにできるのだから幸運である。しかし千ヶ峰の雪景色を拝んだ記憶はほぼ無いのだ。三谷ルートに車を入れて5分ほど、巨大風車の傍のバンガロー村は賑やかだ。新型コロナの間に流行になった野外ライフ、コロナ終焉の後はどうなるか、かなり贅沢仕様の施設もあるらしい。

登山口前の駐車地に着いてやっぱり驚いた。小雨の続く不安定な気象条件に拘らず、ほぼ半分ほどは埋まっている。泥濘を避け、入口に近い一番端に止めさせて貰った。元気なおばさんハイカーが二人、曇天を感じさせない賑やかな声を残して谷に消えたところであった。なるほど、おばさんのおしゃべりは確かに明るい。しかし、明るさは滅びの色などとする小説もあるくらいだ。おばさんのおしゃべりはどっち?。

などと用意が整い後を追って渓谷に入ると増水した谷の水音が煩い。流石のおばさんパワーもこれには勝てまい。目の前の滝は雌滝かな?、かなり迫力のある光景だ。が、パワーで負けたおばさんの脚も確かであった。見上げた谷の何処にも姿が無い。濡れて泥濘む結構な斜度の登山道は暑かった。1枚脱いで岩場を抜けると雄滝のステージ、傍のツバキに赤い蕾がひとつ見えた。岩の上の草花は未だ成長期を迎えていない。毎度のことながら、姿を見る筈であったチャルメルソウ、その名の由来がどうも気になる。中国のチャルメラはこんな形なの?、いつも湧く疑問だ。最後に谷水を渡ると踏み跡は暗い植林の中に続く。ここがもう少しどうにかなれば登る人も増えるだろう。大きなお世話?、地元車両が多かった。

植林の中を登り、殆ど崖を見上げると崖の途中に蠢く男性を捉えた。おばさん二人とほぼ同時にスタートされた静かな男性である。崖を登り切ったところで激しい粉雪に見舞われた。その上昨夜来降った雪と氷と雫の降り注ぐ道であった。春雨だから濡れて行くしかあるまい。山頂が近くなると北への展望が拓ける。遠景は霞みの中、春の雪を纏った山は妙に温かい光景だ。気温は−3度だがやはり温かい。

山頂はもっと温かくて0度である。そんな山頂におばさん二人と男性が二人、山頂標識を占領していた。他に姿が無いところをみると七不思議コースで周回する人が多いのか。降りに入ると三々五々、登ってくるハイカーと出合う。この山には女性が多い。年に100回の登頂を果たしたと云うピンク色の好きなおばちゃんの影響か、たいしたおばちゃんだ。天もそうした状況に配慮したのか風雨雪ともに大人しくなり、ただ春の雪の溶ける雫は如何ともし難い。


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