■ 伊吹山地・続-虎子山
・・・・2022年02月26日
2022.2.27

前日の予定では、賤ヶ岳を周遊し余呉湖の雪景色を愉しむ予定であった。ところが、家を出たところで発生したハプニングにより、1月に歩いた虎子山へ、再び行かざるを得なくなった。前回は直前の除雪と云う有り難い偶然によって、県道から見える山の端までは歩く事が出来た。今日の朝は克く冷え込んだ、が日中は暖かくなると云う。

県道を奥に向う車は多い。前回は覗いていた国見林道の路面はその後の雪で完全に覆われ、出合いの膨らみには先行車が1台、用事を済ませて少し下った川沿いの空き地に車を止めた。川向うの真っ白な雪の上にドロで汚れた雪が積もる。これは路面の雪を投げ飛ばした跡である。近頃の除雪車はたいした機能を持っている、凄い。路肩に堆く積まれた雪はここには無い。

スキー場に登る車がビュンビュン通る怖い道を歩いて林道出合い、ワカンを履いた男性が、雪道の先の山陰に隠れるところだ。見上げた空に雲は無く、右の高みに覗く真っ白な伊吹山の頂上あたり、林道の雪は深くてよく沈む。ところが今日はワカンが無い。せめて狸の丘までは行きたいものだ。向かいの尾根から雪原に続く往復分のスノーシューの跡が残る、今日はあのくらいでも充分過ぎる。

ワカンの跡を忠実に辿るとバランスを取るのが非常に困難、更に膝上まで潜ると大変に辛い。まっさらな雪の上は歩くには楽だが足を抜くのが大変だ。加えて上天気、暑い。凡そ1ヶ月ほどで1mほどの積雪が増えた。大きなデブリの上の急斜面に巨大な雪の塊、崩れるなら後にして下さい。橋を渡ると斜面に鹿の群れが現れて克く啼く。ほとんど崖に近い斜面で雪は少ない、が急斜面を横切る姿は鹿と云うよりカモシカに近い。カモシカになって崖の草も食べたいと云う鹿の夢は現実のものとなった。褒めるべきか悲しむべきか、久しぶりのハムレット。しかしこちらを睨んで頻りに啼くのは少々筋が違うだろう。

先行する男性のワカンの跡は橋を渡った尾根の上に続いている。この積雪では恐らく527ピーク辺りが限界だろう。上手く行っても630までは行かれまい。ワカンのご利益も無くなったこちらは、この先の埋設構造物までは、と頑張った。降り注ぐ陽光に溢れた雪の広場は眩しかった。ここらの積雪はゆうに2mを越えている。雪の上に人の形を残しておいた、更に緩んだ雪の林道も辛かった。

県道には充分に雪を堪能した帰路の車が溢れていた。湖周道路から覗く湖面には、漣の中をプカプカ、悠々自適の水鳥が群れていた。そろそろ帰り支度の相談でもしていただろうか。


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