■ 多紀アルプス・筱見四十八滝〜峠山
・・・・2021年11月14日
2021.11.14

今年の紅葉はあまり良くないようだ。それでも皆様お出掛けになるのは、新型コロナの自重も解けた今、はぼ確実である。と言う事は、やはり近場で自重した方が、後になって悔が残らない。近頃はアウトドアブーム、篠見48滝の四阿前に止まる車は2台、1台はキャンピングカーでもう1台は既にお山、四阿の背後から立ち昇る煙の元を探るとテントが2張り。火の傍には2台のバイクが止めてある。

煙がやや収まると勢い良く立ち昇る炎、今日は近頃ではやや温かい朝だ。始終流れる滝に向かうと沢の音が無い。僅かとは云いながら、確かに流れているからやはり48滝である。相手にするかどうかはこちらが決めるのだ。克く踏まれた登山道を登って明かりの多い岩場に出た。明かりが多いと温かい。ナツハゼの実などは既に無く、モチノキの黒い実が風に揺れる。向いの岩尾根辺りは良い感じに色付き、遠目にはそれ程も悪く無い。

降って一番落差のある滝の手前は真っ暗、明るい尾根との差で酷く暗い。カミオカンデの100分1の感度があればな〜、しかしちょっと明るくなると転がるドングリも克く見える。近頃ドングリの姿を見る機会がほとんど無かった。目の感度が悪いのでは無くドングリが無かったのだから見え無いのだ。ここには大量のドングリがあった。

一番長い岩場を登るとあっさりと平坦地に抜ける。ここの紅葉は?、案外に良い。綺麗であった過去の事を思えばやや見劣りするのは否めない。よく見れば紅葉の前に枯れた葉も混じり、彼らも相当に苦労しているのが解るのだ。暫く短い行く秋を偲んで、後は周回コースで峠山を超え、上篠見から駐車地まで戻る、幾らか距離の稼げるコース設定、小倉タワまでもう1キロも無い。

雑木の多い尾根を歩いて峠山・点名村雲村、赤い山標は趣味が悪い。長いプラ階段を降ると林道に出た。右川阪左上篠見、川阪は小倉タワから降ったところで未だ見た事が無い。見た事の無い地は遥かに遠い彼方の地と同義である。故に当分は行かんほうが良いな。長い林道、地図には谷底に続くショートカットコースもあった、を歩いて谷底に着いた。集落へはまだ暫く暗い谷底を歩く。が、そこで見た谷の名前は想像を逞しくせざるを得ない。

「盗人谷」、そんな谷を検索してみると京都辺りに同名の谷があるらしい。曰く、盗賊が拠点とした谷でご近所は迷惑した、とある。とすると、この辺りもやはり北部と京大阪との往来があった場所、その様な名残が今に残る峠である。そうした往来の旅人を狙う追剥・強盗の類が塒にした谷であったか!、なるほど。何か、埋蔵文化財でも落ちてない?。上篠見は応仁の乱で戦場にもなった由、この時の戦死者を悼む立派な石碑も立つ。

暗い谷道を抜け、明るいカヤトの原に出てきた。耕作放棄地に生茂るカヤトである。畦道に座ってお昼を食べた。けして広からぬ集落である。槍刀の戦闘は云わずと知れた肉弾戦、こんな狭い平地でのそれは戦闘と云うより殺しあいと云う方がより正確に伝わるのではないか。ちょっと荒れた、住民の去った跡を見ながらそう思うのだ。里山近くを歩くと時々、興味深いものに遭遇する。


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