■ 京丹波・三峠山
・・・・2021年11月06日
2021.11.7

京丹波町水呑福田、国道27号と173号の間にあって、当然ながら京都からも近い地でありながら、好景気の熱に浮かれた頃の建物などはまるで無い。道路脇の家の庭に、草紅葉を見るほども荒れた様子は無いものの、残念ながら人の気配は感じられない。広い路肩に車を止め、山に向かって延びる道を歩くと数軒の家がある。最奥から2軒目の家は四阿のあるお洒落な古民家風、杉林の迫る最奥の家は今風の家で、もうもうと立ち登る煙の中、薪の匂いが何とも良い。

杉林に続く林道の周囲は全て田畑の跡地、この様に放棄された耕作地が占める面積は、日本全体のどのくらいに上るだろう?、空恐ろしいものがある。舗装路を詰めると古い簡易水道施設があって、ここから急勾配の谷に続く途は酷く荒れている。昇ったばかりの太陽は、谷に蟠る冷気を連れて急斜面を駆け上る。谷を見下ろす欅の黄色い葉は、それに応えてはらはらと舞い上る。天使が舞い降りた、と表現するのだろうか。神国日本で天使ではね〜

ほんの数分の光景、以後幾ら待ってもそんな風は吹かなかった。獣道を確認したところ、人の踏み跡はなし、到底尾根の峠に至る途とは思えない。少し戻って、舗装されない道を詰めたところに道跡らしき踏み跡が残り、杉林の谷に続いている。崩れた谷川側から反対側に移った辺りは古い墓跡とやはり田畑の跡、薮っぽい林床を詰めると峠道らしき痕跡をとどめる場所も少々。和知側の光のとどく峠下は辿る事も出来ない程の荒れようである。

尾根を超え、峠跡に行くと「草尾峠」の立派な石碑と林道開通記念の碑があった。林道に残るバイクの跡は新しい。尾根に這い上がる前に藪がある。尾根を捨てて林道を歩いた。南側にあった温かい陽射しはこちらには無い。1時間ほど林道を歩いて、飽きてきたので尾根に登った。暫くは藪歩き、北側に植林保護ネットが出てきて愈々歩き辛い。

急斜面を上り詰めたピークが三峠山(みとげやま)、展望どころか暗い杉の林を這う風は冷たい。冬仕様に替えたばかりでも汗に濡れると寒い。寒いピークでエネルギー補給を済ませ、ピークから南に降る点線のルートを辿った。点線ルートではあるが踏み跡などは全く無し、倒木などで荒れたルートは思いの他時間がかかる。結局、里近くまで延びる、鹿の寝床ばかりが続く尾根を降って林道に降りた。

林道が終わると民家が数軒、鹿の寝床の数の多かった山中に対して、辺りの道脇の植物は不思議に豊富である。午後の陽射しに透ける「ノササゲ」と云うマメ科の種子の紫色には感心した。枝に残るカキ、畑で育つ大きな里芋、駐車地に戻る間に3人の人を見た。


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