■ 両白山地・銚子ヶ峰
・・・・2021年07月22日
2021.7.25

石徹白(いとしろ)、何度学習しても忘れてしまうこの文字、「いとしろ」に辿り着くにはどう読めばよいのか、まあそれはおいといて、いとしろの登山口に着いたのは10時過ぎ、10台ほど止まる車に人影などがあるはずも無く、しかし風に涼しさが感じられるのは幸先の良い印、だろうか。歩き始めたのは10時30分、階段道を降って来られたご夫婦と入れ代わり。「もう行って来られたんですか?」、と聞いた応えが「暑かった!」、おば様はニコニコ笑っておられる。とするとお二人は「いとしろ大杉」まで行かれた、と言う事だろう。

湿った自然石の階段を登ると単独女性が降って来られる。階段を一歩一歩、恐ろしく慎重な歩みだ。少し登ったところで更にもう一人の女性、汗を拭きながら「何処まで登るんですか?」、4時間ばかり登ったお山、と応えると驚いていた。「いとしろ大杉」と云うのは天然記念物だと聞いてはいたが、けっこう人気がある。階段が終わるとその大杉が現れた。大杉の名を冠したものは各地にある。実際に見るとそれほどでもないものが多い。しかし「いとしろ大杉」は間違い無く巨木の類だ。幹周りは13m、何より古木の風情があって趣がある。登山道はここから始まる。

斜度はそれほども無く、ブナや広葉樹に覆われた道ではあるが風は少なく暑い。相当に遅い時間であるから覚悟はしていたものの、想定を超えて暑い。予想していたお花の慰めなども無く、時折覗く高みなどは到底行けるところでは無い。調子が良ければ銚子ヶ峰から1の峰、更には2の峰までも、と考えていたのがアホらしい。慰めになるべき花、次いで素晴らしい山並みが疲れを癒やす予定は何処へ行った?。

まあしかし、エネルギーが切れては元気が出ない。文字通り中途半端だが道横でエネルギー補給、降りの女性2人が呆れ顔で通り過ぎた。さて、と歩き出したところに避難小屋があった、せめてここでランチタイムにしたかった。小屋を過ぎると樹林帯も切れ、へ?、と見た笹の中にササユリがある。相当にくたびれてはいるがササユリ、これで元気が回復するのだから単純と云えばそれまで。

ササユリに次いで見た事の無いお花、ゴゼンタチバナ。右上のお山の谷間に残る雪渓、別山だ。母御岩なる巨岩の先にニッコウキスゲがところどころ。広い笹原に出て、あたりは濃いガスが流れ、北側の上空で雷鳴が響く。これはちょっと怖い、と思う目の前に咲くシモツケソウ。これが銚子ヶ峰到達の原動力、着いた銚子ヶ峰から、1の峰・2の峰に続く尾根にガスが流れる。別山は既にガスの中、ニッコウキスゲが2輪ほど。雷鳴は南側に移動した。

急いで降る笹原の道に雨粒がパラパラ、雨ほどは防ぐ事も可能だが雷は恐ろしい。本降りになった登山道を登って来られる方々が2人・3人、既に10人は超えている。今日の避難小屋は満員だ。2時間ほどで駐車地に戻り、同時に雨もほぼ上がった。夕闇迫るそんな道を、歩いてお山に向う方がお一人、今に至る白山信仰の東海表参道の道である。


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