■ 京丹波・地蔵杉
・・・・2021年07月17日
2021.7.18

地蔵杉へのルートは概ね4つ、南北に連なる尾根を洞峠から南下するコースと長老から北上するコース、西から林道を経て尾根に乗るコース、最後に、三埜から同じく林道を経て登るコース、出来れば尾根伝いに歩くのが望ましい、が、時間と体力の両方が必要である事は前回確認した。結論として、残念ながら、林道経由で到達するのが現実的な選択肢であると判断した。

林道利用で行くなら近い方がより望ましい。よって、偵察を兼ねた前回の三埜西谷から少しだけ降った、北に延びる谷との出合に車を止めた。ここからの林道は長く、出来ればもう少し車で入りたい。が、直ぐ先でチェーンが道を塞いで諸車通行止、歩く他は無いのだ。幸い梅雨も終わりなのか、降り注ぐ日射しの中は暑い。

立派な菅原神社の前を抜け、水量の多い谷川に沿って最奥の民家を過ぎると暗い道が始まる。最奥の民家に住民の気配は無く、何やら心もとない気持ちにさせられた後の、暗くて濡れた林道は意欲を削ぐ。何かないかと見回すと、嘗ての田畑の跡ばかり。林の前方が異様に明るいのは伐採の跡で、木材を搬出した後の谷間に影は無い。影はないが今度は暑い。ちょうど良いくらいの明かりが欲しい。この後道はほぼ暗いだけの工程であった。

暗いだけの工程に、小さなヘビが一匹、アオダイショウの子供だと思われる。細い体を膨らませて、1人前に威嚇するところはアオダイショウに間違い無い。少しだけ光の漏れる岩壁などには綺麗に苔生したところもあり、小さな黄色い花などが咲いて、脚が止まる。二股を右に進み、殆ど損壊場所の無かった道に崩れたところが1・2箇所、更に二手に分かれるところで山腹に這い上がる道を進む。

斜度の出て来た道がつづら折れで尾根まで続き、ここで植林から開放された。大きめのキノコの幼菌を見つけたが、あれもアカヤマドリだろうか?、とても食べようとは思わないキノコだ。P793で道が終わり、西の高みを目指すと崩れやすい岩の急斜面。地蔵杉の前衛は、遠くからでも良く目立つガレ場である。登りきったピークからの南の展望は頗る付きで良い。展望は良いが風が強く、寒い。北側は洞谷川の源頭にあたり、イワヒメワラビが覆っている中に、巨大なブナが一本、存在感がある。

ここから綺麗なブナの林に代わり、ひと登りで地蔵杉のピークに着いた。山名プレートの一つだに無いピークで、三角点と木に巻き付けたテープに記された地蔵杉の文字だけ。丹波の秘境「地蔵杉」に人影は無い。寒いので、南側に降ったブナの木蔭でエネルギー補給、いつの間に、空は一面の雲、遠くを見ると明るい。

どうやらこの辺りの上空だけに掛かった雨雲のようで、暗い帰路の道中、這い出したヒグラシの合唱とパラパラはあったものの、どうやら無事に戻って来れた。戻った神社の前は光に溢れ、温度計によれば、30℃を超えていた。


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