■ 伊吹山地・横山岳
・・・・2021年04月24日
2021.4.25

下界では桜も終わり、萌出る若葉で春爛漫、駐車地の桜も同じである。路肩に咲く白い花は、このところ関西ではお目にかからないバライチゴの花か、辺りを覆う草花の多さ、琵琶湖を隔てただけで、春の景色が残っていた。先行車は10台ばかり、ちょっと遅めの登山口は仕度の若者が2人だけ。止めた車の脇に咲く花はイチリンソウ。残雪の恐れのある谷コースを外すと、前回と同様、コエチ谷・三高尾根から東尾根の周回コースが残る。未だ葉の出ない樹林帯の尾根道は明るいに違い無い。

雲の多かった空に陽射しが戻り、延々と続く黄金色に輝くヤマブキの道、が、歩き始めるとかなり暑い。バライチゴの花とばかり思っていた白い花はイチリンソウ、花の咲き乱れる賑やかな道は墓谷山の稜線に登る厳しい斜面の慰めにはなる。稜線が近くなるとユキザサ・ホウチャクソウ・アマドコロ・チゴユリなども混じり、斜面を覆うケヤキの葉は未だ出始めたばかり。ここまでは「花の山」に相応しい光景が続く。

稜線に出て、鳥越峠で終る林道を見下ろすと、峠で終わっていた道は墓谷山北側山腹に延びている。ここまで車が入ると楽だろう、で、三高尾根に目を移すと、厳しい斜面の続く尾根に横山岳ピークは見えて無い。涼しさの感じられる風の中でもやっぱり暑い。ここまでは木の根草の根を頼りに急斜面を攀じ登った。ここからの急坂は脚だけで登る、硬い身体にはアキレス腱の痛くなる途だ。

相変わらずイカリソウ・ヤマブキは見るものの、高度に合わせて背丈は低く花は小さくなる。後ろの方で声が響く、更に遅いパティーが墓谷山の尾根に着いたらしい。そろそろピークを踏んだパティーが降って来られる時間、お話を伺うと、東尾根からの周回だと仰有る。ここからの登りはキツイでしょう、挫けそうな心持ちを隠して笑い顔で応えるのだ、直後は確かに脚が軽い。

暑い落葉の途にフデリンドウを見つけた。花を探しながらの行程は少しだけ楽だ。リンドウの次は思っきり羽根を拡げたカタクリが続く。東側の展望が得られる辺りも苦しさが減る。薄く色付いてきた谷間や東尾根の彼方の景色は苦しさを紛らす程に素晴らしい。未だ硬い蕾の中に、来週辺りは咲くだろう蕾も混じるヤマシャクヤク、しかしながら、花の神通力もここまでで、緩む気配の見えない斜面が酷く応える。歩みは休みがち、後続の姿などを探しても未だ見えず、参った!、と言う言葉が脳裏をかすめる頃に山頂に着いた。あ〜助かった!。

山頂広場に脚を拡げて休むおば様2人とおじ様1人、展望の良い辺りで休みたいから東のピークに向って移動、北側には残雪のある尾根はふく風も冷たく、マンサクなどが花を開いたばかりだ。霞の中ながら、三周ヶ岳辺りの山並と、背後に能郷白山らしい山影がある。コブシ・イワナシの咲き乱れる岩場の上で昼食休息、谷コースに消えて行った2人組は東尾根から現れピークに向う。

エネルギー補給を終えてゆっくり降る東尾根、ブナは未だ芽鱗を落としたばかりで、どこまでも林床を覆うのは淡いピンクの花を着けたイワウチワの群落、ところどころにバイカオウレンの小さな花が混じり、空は晴れ渡り空気は澄んで、抜ける風は爽やかな別天地の風。

未だ残るヤマザクラの傍の樹木に柔らかな葉が多くなった。帰りの林道は2キロ、ヤマブキ・イカリソウ・イチリンソウに加え、樹林の中ではワサビの花も見た。降る地元の方の軽トラの荷台で、微笑むお二人の顔は何処かで、、?、あ〜、三高尾根を降って行ったお二人に違い無い。東尾根からピークに向った若者2人、結局は東尾根のピストンに落ち着いたらしい。


CGI-design