■ 播磨・段ヶ峰
・・・・2021年04月10日
2021.4.11

前後の四駆に挟まれて、そのまま登山口に着くと満車状態、上の方に臨時の駐車場が出来るほど、人気のお山であるらしい。幾らかは新型コロナの影響があるかもしれず、ナンバーを見ると他府県の車も混じる。用意の間にも増える車、登山口で待合わせの若者達は、カメラに向ってハイチーズ。シャッターの間合いだけでも先行出来た、ここで抜かれては忸怩たるものが残る。達磨ヶ峰まで高度差400、風は冷たくて4℃ほど、何とか休みなく尾根に乗り、彼らの様子を覗くと未だ半ばに足りない。青い葉の交るススキの間に、ダブルストックのアベックが見え、吹出す汗などを拭きつつ冷たい風が心地良い。

達磨ヶ峰の手前でアベックを捉え、展望の良い尾根芯の風は強く冷たい。温度計は0℃くらいで、陽射しはあっても休める状況では無い。登山道の周辺は確実に増える馬酔木の勢力下、花と云えばスミレくらいで、何処にでもあったショウジョウバカマの1つだに無い。改めて思うのはスミレの生命力・繁殖力、コロナ禍にある人族はどうであろう?。

第二峰の山標を過ぎると最低鞍部までの降り途、積雪の中で2度も躓いた石は、意外に鋭く大きな岩であった。登山道に残る水の痕跡、おそらくは朝方の冷え込みと強風で出来た霧氷が落ちたものだろうか、長く伸びた霜柱は未だ健在だ。最低鞍部からの登り返しはなかなか厳しい、疲労した脚には応える区間だ。加えて陽射しの無い辺りは風で寒い。平坦なフトウガ峰の手前からは陽射しの中、背の高からぬ樹林帯を抜けると一気に展望が拓ける。

目の前に続く段ヶ峰への秀麗な尾根、北には雪の残る氷ノ山、西に千町ヶ峰などの居並ぶ様は、たかだか1000m程度の山域としては他に比べるものが無い。膝下程度の馬酔木と千島笹の原、続く途の先に真っ赤な服の単独男性、風は冷たいがゆっくり眺めたい光景だ。ここでのテン泊は、大きめの馬酔木の間にしたい。フトウガ峰の山標を見て、伸びやかな段ヶ峰への平坦なルートを歩く。

目前にけっこうなお年だと思われる、賑やかな服装のアベックを捉えた。撮影の間に行かせて貰い、振り返って見たド派手な色使い、日本の常識も様々になった。先を歩く真っ赤な服の男性、大きめのザックは膨らみ尾根を東に向う。新たに設置された表示版の方向である。

とそこへ、ダブルストックの男性と別れた女性が1人、小走りで迫り段ヶ峰ピークを踏んで小走りで戻って行く、逞しい〜。段ヶ峰ピークを抜ける風は寒い。林道で周回する予定であるから、温かそうな千町峠に降ろう。峠の茶屋、日曜日は営業するとか、の男性から「早いね〜」などと、嘗て云われた事の無い賛辞を頂いた。

さて、後はこの時期だけの景観を楽しみながら、ゆっくり、長い道程を歩く。時にはバイクなどの通る荒れた林道ながら、険しい岩場から染み出す水の流れ落ちる様、高度を失いながら見えてくる樹木の様子は面白い。峠では未だ硬い蕾の桜は、林道の半ばを過ぎた辺りで花を開く。和紙の原料であるミツマタは、開花期の垂れ下がる花から姿を変え、ほぼ球状の花に変わっている。咲き誇る花の横に残る未だ咲かない蕾は、この植物の生き残りを賭けた戦術だろうか。


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