■ 丹波・鹿倉山
・・・・2021年03月07日
2021.3.7

福知山市菟原下の府道を少し入ると閉鎖された林道ゲート、その手前のサクラの木の下の日溜りが駐車場だ。気温は4℃でも陽射しのあるところは春の匂いがある。良い匂いか悪い匂いかは人それぞれ。立派な舗装林道の続く谷は「狼谷」と云い、歩き始めたばかりの出合いの橋には「蛭谷橋」の名がある。どちらも威圧的な名前で、時代・季節によってはこの先への立入りを逡巡せざるを得ない事もある名称だ。蛭谷は、この地に木地師が住んだ名残であることもあり得るかも。

歩き出しだばかりで、杉の植林の多さに驚いた。周辺の山々は岩場が多くて雑木が中心。ジメジメして暗い杉の林、おまけに気温の低いこんな日は、是非とも歩きたく無いシチュエーション。前方の急斜面に残る踏み跡程度の途、これを登れば大平寺跡に通じるらしい、が今日はパス。次には大平寺への旧参詣道なる荒れ果てた踏み跡が出て来て、やはりこれもパス。綺麗な道を登ると床几が2脚も設置された場所がある。確かに東側の展望があって、休息には良い場所だ。冬枯れの今なら展望もある、が葉の茂る季節ではどうだろう?。

道は降り傾向になり、薄暗い杉の林に入ったところで終わり、山側に鳥居があって、熊野権現神社の名がある。小さいが立派な社だ。左手に、山腹に続く踏み跡が続く。ここで暗い杉の林を拒否すると何をしているのか分からない。くの字に続く途を辿ると岩場に誘導された。そう言えば、この山へのコースに地獄尾根コースなるものがあるらしい。流石に地獄尾根では杉の植林は出来まいが、そこまでのルートが植林地ならやはりパスの対象だ。

そうこうしていると結構な斜度、ルートは岩の窪みに続いている。崩れるような脆い岩でなくて有難い。登り切ったところが烏帽子岩、次に出て来た案内に天狗岩と云うのがあった。灌木の間に見えるのがそうらしい。出て来た汗を拭きながら、次は何?、と覚悟を決めたところがピークであった。南に多岐アルプスの三岳が横に並んで見える場所だ。

ピークから西側に降ると鈎掛地蔵を経て林道に降るコースが可能らしい。が、東には明るく伸びやかな尾根が続き、地図を見れば床几のあった辺りに降れる。暗い杉林より断然魅力がある。見れば踏み跡も残るしテープもあった。ここを歩く人もあるらしい。雑木の尾根を辿ると案内も出て来て、それによればこのルートも正規の登山道、道に出る手前に、南の桑原地区に降る古い峠道に出逢った。降ってみたい途である。

舗装林道を降ると綺麗に掃除された途が見える。幾ら何でも、山途を綺麗に掃き清めるなどとは尋常では無い。林道脇から続く落葉一つ無い苔途を降ると大きな樅の木と神社がある。大樅の木は京都府下で1番太く、その根元から湧く水は「轟水」、神社は「轟水満宮」と云い轟水を祀るもので、350年の歴史があるとの説明が書かれた石碑。溢れ出す水には覆いが掛り、が名称の元である流れの音は絶えず、今日でも利用されているとの事であった。


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