■ 野坂山地・百里ケ岳
・・・・2021年02月13日
2021.2.14

小入谷集落まで道に雪は無い。道どころかお山を見ても雪は殆ど見ない。温かくて、お山には雪が沢山あるのが望ましい。そんな我儘がまかり通った事が一回だけ、3mの雪の上は25℃もあったのだ。今日のところは温かいだけで良しとしよう。小入谷、これは「おにゅう」と云うらしい。おにゅう峠を越えた根来集落の前を流れる川は遠敷川、分水嶺を越えたところで音は同じで字を替えている、何故だろう?。小入谷まで来てはじめて田畑を埋め尽くす雪を見た。

府道を少し登ると百里ヶ岳の登山口、百里新道の標柱の立つ路肩に車を駐車、尾根に登る辺りは落葉の途だ。溶け残る雪に足を乗せると四散する、そして滑る。少し高度を稼ぐとスノーシューの跡を残した雪面が繋がるようになった。葉を落とした尾根からは東西南北どちらへの展望も良く、晴れて温かいのでゆっくり鑑賞が出来る。木地山峠の彼方に見える白い山は?、たぶん野坂岳、南側に見える高い山は?、たぶん三国岳だろう。西にひときわ高い山は不明。

尾根が少しだけ北側に傾くと充分な積雪があり、例年のことを思えば少ないとは云いながら、ツボ足で歩く限界くらいの雪はある。北側は流石に冬であった。葉が落ちて始めて見えて来た太いブナの林、高みにはクマの食事跡である熊棚が二つ三つ。木地山との峠道、シチクレ峠の側の細尾根はほぼ雪で埋まり、乗ると下から馬酔木が出て来る。例年の雪ならここは難関中の難関だ。ここからの急斜面の雪は僅かで、足を置く場所を間違えると良く滑る。両側の谷は深く、落ちてはいけないところである。帰りはどうしよう?。

本州分水嶺に乗ると強い風が吹く、流石にちょっと寒い。スノーシューの跡は2日ほど前のもので、今日は未だ踏み跡は無い。岩尾根を越えるところで12時を過ぎた。百里ヶ岳の急斜面は目の前で、まだら模様の雪、降りの事を考えて今日はここまで。風下に回り込んでエネルギー補給、ゆっくり時間の取れる温かさは良い。直ぐ前は崖である。

ピークを諦めたからには余裕はある、ならばと向かったおにゅう峠、記憶では優しい道のりも、雪の多い小高いピークを越えるかなり厳しいルートであった。大きなブナが木陰を作った根来坂峠、太いブナは根っこだけ残して枯れていた。お地蔵様へ挨拶を済ませ、道標とスノーシューの跡に従い、古い峠道を辿った。記憶の峠道は崩れた箇所があった筈で、すぐ下に見える林道に降りたいのだ。

スノーシューの跡は、どこが途かも分からない雪の急斜面をよろめきながら、林道に降りようとしない。危険な峠道を捨て、安全に降れるところを確認して林道に降りた。林道の雪は40cm程度で、溶け始めているので靴が濡れる。長い雪の林道を歩いて、脚が痛くなる頃に小入谷へと続く鯖の道を降った。


CGI-design