■ 多紀アルプス・西ヶ嶽
・・・・2020年12月12日
2020.12.13

多紀連山の三岳と云うのは、小金ヶ岳、御岳、西ヶ嶽の総称であるらしい。嘗て、未だ山腹を覆う笹が元気な頃には、笹を漕いで西ヶ嶽にも登ったものだが、マダニを発見して以来は妙に足が遠のいた。真夏に栗柄から登って気分が悪くなった事もあったからそれが契機かも知れない。時期は違えど、その栗柄からの西ヶ嶽は実に久しぶり、登り口には栗柄ダムなどが出来て随分様子が違っている。

橋を渡って直ぐ右手にある運動場の駐車地に車を止め、くだびれてしまった案内標識に従って歩くと神社がある。不思議に奥行きを感じさせる佇まいでちょっと拝見、神社を覆う建物で出来た陰が奥行を演出している、一石二鳥。登山道の脇にある愛染窟は朝ドラの舞台になったとか、嘗ては道も綺麗で案内も立派、今では全て遠い記憶の彼方だ。

防獣柵を開け、藪に呑まれた宅地の前を抜けると暗い杉の林に続く途、踏み跡も僅かで谷川に架かる橋も無い。ミツマタの先の崖下に出来た洞穴が愛染明王を祀った愛染窟、中は暗く、明王様のご尊顔は不明である。登山道に戻って辿る途、けっこうな斜度に加えて鎖場などが続き、展望の良い辺りでは、谷を挟んで連峰の岩尾根が拓ける。暑い夏場では、岩も熱かろうし熱中症も不思議では無い。今日は一桁の気温で時折漏れる陽射し、適度な気温で汗が気持ち良い。

650のピークから少し降った絶壁の上が西の覗き?、目の前の屹立する岩峰を中心にした光景は、立派な岩峰に加え空間の広さ、冬枯れの色彩、僅かな光、何れも克く調和して素晴らしい(肉眼です)。ただ、岩場から東に向いた展望で、何故「西の覗き」か多いに悩むところ。一旦降って登り返すと御岳と西ヶ嶽の中間点に出る。見下ろした南の谷は久しぶり、這い上がった地点は少し御岳に近かったかな。

西ヶ嶽に向かって降って登って、いつの間にか重い雲が空を覆い、風も幾分冷たくなった。南の空には光がある。単独の男性が御岳に向う、西ヶ嶽までは2つほどピークを超える。着いた狭い西ヶ嶽山頂には立派なカメラを持った若者二人、岩に登って辺りを俯瞰し、笹のなくなった尾根を西に降った。ここからは初めて歩くルートで、かなり厳しい斜度がある。落ち着いたところに案内標識、南の藤岡ダムまで1・6キロ40分、西ヶ嶽山頂0・3キロ50分、誇張ですな。

ここからも、降りでは快適でも登りでは?、と思えるほどの斜度と階段道が続き、地理院地図の栗柄下山ルートを見送って一般ルートで栗柄口へ下山。斜面を巻くように付けられた、緻密な階段道は歩きやすく、気持の籠もった、作品と云えるものであった。ひきかえ、路肩の少ない、トラックも通る交通量の多い道は恐ろしい。歩行ルートは他に無い。


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