■ 中国山地・三瓶山
・・・・2020年11月21日
2020.11.23

そろそろ11時になろうかという頃にさんべ荘の駐車場、三瓶山は流石に遠い。止めた車の横に足湯がある。濁ったお湯に手を入れると、ほんのりと温かい。源泉の温度だとすれば、風呂には加熱が必要だ。轟々と音を立てるのはボイラーに違いない。快晴の予定の空はやや雲が勝る。駐車場の背後に聳える山は孫三瓶、登山道周辺の樹木は紅葉も終わり、林床を覆うのは柏の葉、大きいものだと顔くらいのものも交じる。

孫三瓶への分岐を過ぎて山腹を歩く。孫三瓶への急登は後に回して先ずは子三瓶の肩。ときおり未だ元気なアキノキリンソウやヨメナなどが咲いていて、天気も良い方へ傾き陽射しは暑い。子三瓶のピーク辺りが見えて来て、ススキの原からいきなり落ちた様に見えたハイカーには驚いた。標高はなくてもコニーデ型の山容、これは案外厳しいかも。笹原の子三瓶と孫三瓶の肩には子三瓶から降って来られた方々が数名、お若い方々に交じるおばあさんには驚いた。

岩の多い子三瓶への登り、加えて東よりの強烈な風、風の先には太田市と大江高山火山群が広がる大パノラマ、ハリウッドのロケ地になりそうな光景だ。傾斜地を過ぎると笹原の広がる山頂部、男三瓶が見下ろしている。ゆっくりする時間は無いので直ぐに男三瓶への降り、あまり降ると登り返しが大変だ。100mほど降ると形の良い松が一本、根本に残るマツムシソウ、ここからは火口に降るエスケープルートと西が原へ道が分かれる。風の無い静かなここからの眺望も素晴らしい。

立ちはだかる岩峰の男三瓶、厳しいルートは落石が心配だ。途中の岩陰で休息中のカップル、この余裕は何だろう。重くなった足を引きずりやっと斜度が緩む地点、男三瓶の山頂部は広い。徐々に広がる平たい笹原、遅めの時間にも拘らず、辺りを散策する人影、山頂は更に賑やかで、登って来られる方々も絶えない。時刻は既に14時を回っている。

避難小屋の前でエネルギー補給、ここでテン泊でも不自由はまるで無い。いつまでもゆっくりしてそうな皆様を残して、女三瓶に向けて下降を開始。やや危険な場所が2箇所ほど、流石に女三瓶へのルートは緩やかで、西陽に浮かぶ子・孫と火口の森は秀逸であった。大山の砂すべりに似た辺りを通過、登り返すと電波塔の立つ女三瓶、リフトで来られた方々も多く、次の大平山までは観光道路。

大平山からは夕陽を浴びて孫三瓶、と云うほども楽では無い。疲れた脚にはかなり応える登りが続く。ススキに囲まれた、山頂西側の椅子に腰掛け見た光景は、文字通り今日一番の絶景であった。


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