■ 京都北山・中山谷山
・・・・2020年10月31日
2020.11.1

風の無い真っ青な空、気温は日陰で9℃ほど、陽の射さない五波谷の駐車地には生き物の気配が無い。このところ鹿の姿も消え、道脇の斜面に残る野草は回復期を迎えている、かも。いつもながら、見上げる様な急斜面に取り付き、先ずは塩を撒いて厄落とし、谷底に潜む山ビル対策、効果があったのか、靴を這い上がる山ビルの姿は無い。鹿が減ったのなら、以前の様な平和な谷に戻る日もあるだろう。

山ビルの心配が去り、目の前の急斜面の灌木を頼りに少しづつ、どうにか100mも登ると谷底の道を見下ろし、その道を五波峠を目指す車やバイクが上って行く。樹林の間から見える紺碧の空、明るい林床に残る獣の痕跡は、鹿の寝床であった。このところ見なかった鹿が戻って来た?、が食料の無い山で冬は越せない。鹿の食べない馬酔木に覆われた尾根を抜け、再び出てきた急斜面を越えると日本庭園風の小ピーク、今日の陽射しに加え、色付いた葉叢のピークは明るく、葉叢越しに見る背景の山は秋の盛りだ。

木登りの熊がいたヤマボウシの木、残念ながら実は全く無い。数えるばかりのウラジロの実を噛んでみると、ザラザラで水分がほとんど無い。これでは山の動物は可愛そうだ。ドングリも栗もほとんど見ない林床ではリスの越冬さえ難しい。鹿の食害で林床に草本は無く、木の実も無いとしたら、動物は移動するより選択肢が無い。なんとかならんかな〜

北の高みに見える中山谷山のピーク辺りは既に葉を落としている。五波谷川の源頭の一つを超え、もう一つ小ピークを踏むと中山谷山の南尾根に乗る。東の方から盛んに聞こえる轟音は、今津の自衛隊だろうか。色付く芦生の森の上空をヘリが飛ぶ。時計を見ると既にお昼、倒木に腰掛けてエネルギー補給、温度計を見ると5℃であった。目の前のハウチハカエデは今が見頃、マンサクの葉は林床を染めている。

この辺りの尾根にはマンサクが多い。背の高いブナなどが多くなると中山谷山ピークである。18年の台風で酷く荒れてしまった周辺の森、倒れた樹木は枯れ始めている。せめて、坂谷辺りまで続く森を残せたら、自然の回復力を云々できる。見下ろすそこにはカナダ杉、これでは再生も難しい。

冷えてきた山頂から五波峠へ降る道中、風の無い陽の当たる林床ではお昼ごはんのパーティーが一組、案外と少ない。峠に残された車は2台、熊も猿も食べていた峠のヤマボウシに実は無かった。帰り道の林道に残る草花はソバナとアキノキリンソウ・アザミだけ、林道の急斜面に僅かに残るだけだ。鹿は確かに帰ってきた痕跡を残している。が、今年の冬はどう越すのだろう、ユキンボの飛ぶ季節がやってきた。


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