■ 中国山地・扇ノ山
・・・・2020年10月24日
2020.10.25

先週の週末は雨、今週は雨に加えて寒気が加わり冬型の気圧配置、冷たい風が心配のタネ。なにしろ紅葉は今週がピーク、秋には待って貰えない。もっともこれは扇ノ山の話しで、それぞれの地域にそれぞれの秋があろう。上山高原に続く道は広く明るくなった。道の両側に立ちはだかる夏草の類は綺麗に掃除され、うねうね、蛇行する狭い道の見通しは良い。ススキの無い高原は奥深さが消えてしまった、両立は難しい。

上山高原の駐車地に車は1台、曇天の下の冷たい強風の下で広げたタープ、あれは建てるのも維持するのも難しかろう。残るススキは風に翻弄され、赤黒く色付いた山の稜線は轟々と音を立てる。水とのふれ合い広場にも車は1台、落下するべき湧水は、風になびいて横に流れる。ここから姫路公園コース方向に向うと大石コース、暗い植林地に続くコースだ。更に10分ほど、木の葉が埋め尽くす濡れた道を降るとせせらぎ広場と云う、まことに心細い、古びたあずま屋に到達する。ここからの上地ルートは、案内によれば、上級者コースとなっている。

かなり深い谷底から這い上がるコースで、橋を渡って直ぐ、谷川の渡渉が待っている。今日の谷川の流れは早く、水も多い。誤れば、曇天の気温6℃の大風の中で震える事になる、であるから上級者コース、だろうか?。溶岩らしい岩がゴロゴロした谷川を渡り、割合に整然とした雰囲気の中、ルートの側に現れた炭焼き窯の痕跡、今では鹿の良い棲家だ。炭焼き窯へは麓からの道があったはずで、このコースはやはり杣の道に違いない。鹿の足跡は多くても、近頃の人の足跡は全く無い。整地された辺りを過ぎると途は左側の急勾配に続いている。雨後の泥濘んだコースに、補助ロープは有り難い。

辺りは雑木林、未だ色付いた葉は少ない。落ち葉の林床に白いシメジの様なキノコがボツボツ、シロノハイイロシメジ、と同定した、食用である。クリタケ、ナラタケ、エノキ、と同定したキノコもあった。何れも食用ではある、が、食べる事は無い。あたった場合、1晩で終ら無い場合もあるから食べないのだ。食べてもよいキノコ、ナメコはちょっと遅すぎてやめた。今日の収穫はなし。

ときおり、両側の尾根の高嶺に日が指す。と、紅葉に彩られた山の端が現れる。斜度が緩むようになるとブナの純林に代わって、お隣だけで無く、ここにも日が指す事がある。すると、白い木肌と赤く、黄色く紅葉した葉叢が斜面の上に浮かび上がる。これは、と見ている間に光が無い。もっと光を〜、と八百万の神々にお願いしても詮無いことであった、吹く風よりも冷たい仕打ち。

河合谷コースが近づくと賑やかな声が響く。おば様方パーティーは何処でもパワフルである。おば様方は元気だが、気温は更に下って3℃、がお天気は回復傾向に見え、青空の範囲は広がり始めた。取り敢えず扇ノ山に登り、上地コースをピストン、降るに伴い上昇する気温は、この後の穏やかな黄昏時を想像させる。上地コース起点まで戻ってみると陽の当たる道路、ところが、水とのふれ合い広場を抜ける風は凄まじく、寒い。

気温の下がる黄昏を迎え、募る風を避けたい車がウロウロ、上山高原と扇ノ山の駐車地の間を行ったりきたり、寄らば大樹の陰、辛うじて大杉の傍は風が弱い。翌日は快晴、帰路の道中は暑いくらいで、コスモス畑に溢れる光、黒井城址の山道に溢れる人、城跡から望む黒井の里は、穏やかな秋に包まれていた。


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