■ 伊吹山地・横山岳
・・・・2020年06月27日
2020.6.28

朝靄に濡れた横山岳登山口、すっかり準備の整ったおっちゃんおばちゃん登山隊の方々、あるき出すばかりの体制でお話に夢中。山慣れた様子には余裕が感じられる。トイレをお借りし、用意の間に姿が消えた。本流コースに行かれたのかな?、狭い谷間のずっと上に、横山岳ピークが覗いている。

横山岳は始めてだし、暑くて湿度の高いこんな日は、厳しいと云う谷コースは避けたい。斜度が少なくブナ林が美しいと云う東尾根コースを降りに持ってくると、登りはコエチ谷コースになる。少し降った辺りに、暗い谷道を指す看板が立っていた。山ビルの噂は聞いていない。

コエチ谷コースから林道に入ると、思いの他明るく、道端の草木に勢いがある。林床にも夏草灌木が溢れ、オカトラノオは盛でバライチゴは終わったところ、ここには鹿の食害が見られない。鹿が少ないと言う事は山ビルもいない?、と思いながらもチェックは怠らない。植林地は直ぐに終わって明るい道をぼちぼち、兎に角暑い。

林道終点からは、見上げる様な急斜面に踏み跡は続いている。立派な木々に覆われた急斜面を登りつつ、向かいの森を眺めると、不思議に葉の色が褪せていて、初夏の葉色とも思えない。目の前の太い木を確認、周辺の木々は全て、ブナではなくてケヤキであった。ケヤキの森は始めて見た。踏み跡の傍らに、花季を過ぎたエビネ。

大汗かいて登ったところは墓谷山へと続く尾根道、降ったところは鳥越峠で立派な林道の終点である。ザックを降ろして一服休息、風がないので汗がボロボロ、バイクに跨がるお若い男性が着いて写真を1枚、そうして戻って行った。登山道は目の前の急斜面に続き、現在高度は500、谷コースと変わり無い事を始めて知った。

再び取り付いた厳しい斜面、踏み跡程度の黒土の途は滑りやすい。相変わらず続くケヤキの森に、なぜか飛ぶ鳥が少ない。踵が痛くなる頃に緩み始めた傾斜、上の樹林の中には明るさが見える。しかし、この尾根の名は「三高尾根」、この程度で済むだろうか?、と思っているところへ後続の男性が一人、ランニングシャツと短パンとジョギングシューズと大汗、足の脇には今年生まれのマムシが一匹。

林床にはずっとコアジサイが咲き、下では色褪せたものも、高度とともに鮮やかなものに変わって来た。徐々に傾斜を増しつつあった途、やはり急斜面となって続いている。辺りはブナが大勢を占め、ぽっかり空いた谷への展望地の周辺に、種を付けたヤマシャクヤク、そろそろ着いて貰わないとエネルギーが切れる頃だ。岩尾根に差し掛かり、男性が降りて来られて直後、崖を登ったところが横山岳西峰ピーク、展望の無い、物置小屋があるだけの平坦地であった。

兎にも角にもエネルギーを補給、見るものがないので直ぐに東峰に向かって移動。視界の開ける尾根からは、余呉湖と辛うじて琵琶湖は識別が可能、東側に続く山々は霞の彼方、天気が良ければ白山くらいは見えただろうに。真っ赤に熟れたウスノキが慰めだ。辺りはひっそりとして、人の気配はまるで無い、皆さんは下山されたのかな。

東尾根に降り、若いブナの林を降って林道に下降。直後、陽射しは戻り霧は晴れ、灼熱のコンクリート道、色鮮やかなヤマアジサイの咲く道を辿って登山口。谷コースを行かれた筈の車だけが残っていた。


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