■ 京都西山・牛松山
・・・・2020年02月23日
2020.2.24

先週は、牛松山へは到達出来なかったものの、里山程度の山岳に残る、庶民の足跡などを辿ることができて大変に面白かった。面白い山歩きも、目的地であった牛松山をなおざりにしてしまうと色褪せてくる。で、今週もやはり、越畑物産館前を拠点に牛松山へのルートを歩きたい。予報では晴れの空は真っ黒で、棚田の前を覆う寒々しい霧、雨の小康を待っていると雪に代わった。雪と云うより風花程度、気温よりも風が強い。

今回は先ず府道を歩き、神明峠から愛宕谷川に沿った道を降って保津町に出て、正規の登山道で牛松山に登るコース。帰りは無論、地図に示された尾根コースを辿って樒ヶ原に戻る予定。地理院の地図に示された破線ルートは必ずしも明瞭な道では無かった。近頃の踏み跡を参考に戻って来よう。神明峠迄の道程は凡そ1時間、ほぼ降りの行程で負担は少ない。蛇行を繰り返して登ってくるサイクラーは苦しかろう。ジョギングで登る女性二人組には笑顔があった。

神明峠から右のゲートを潜って落葉の道に入る。苔の生える陰気な道、と見えたのは峠付近だけで、あとは明るい立派な舗装路が降っている。直ぐ先に2台の電動自転車が止めてあった。恐らくジョギング二人組のものだろう、まだ顔に汗が無かった。蛇行する道が終わると明るい谷間に大きな溜池が二つ、土手には春を待つ桜の木、花がひらけば美しい水辺が出来る。なかなか良い景観を秘めた里山、歩くに相応しい価値がある。

水面に水鳥が少ない、水草も見えるしカモなどが居ても不思議では無い。白鷺が一羽、ちょっと小さめな鳥が一羽、こいつは潜水の名人で、1分ほども潜ると嘴に小魚を咥えて浮かんできた。恐らくシギの仲間だと思われ、小魚などを捕食する鳥の領域だと言う事らしい。花が咲いたらまた来てみたい空間である。

轍の残る道であるから時には車も通る道、お世辞にも手入れは良く無い。ハイク、自転車に限ればこれで充分過ぎる道である。嘗ての名所?かピンク色の看板に「夫婦岩跡」などと想像以外に見る事の不可能な案内がところどころ、流石に観光京都と云わざるを得ない。

後ろから首が伸びて来て「こんにちは」、振り向くと自転車に跨がる白人男性、降りの水平道で心臓が飛び出た。国際色豊かな京都らしい。一昨年の台風で折れたり倒れたりした木々の光景は珍しく無い。そんな道の傍らに車を止め、道の上数メートルの山腹で、火を焚いて休日を楽しむ方々、もう少し相応しい場所もあるだろうと思うのだ。

前方が明るくなると愛宕谷を抜け保津町に出た。いつの間に黒雲は消え明るい空、登山口を確認しようとしたところへ怪しい雰囲気の男性が声を掛ける。何が怪しいと云って、白髭の頭は茫々、顎髭はかなり長めでやはり茫々、服装は普通と言えなくは無いがやはり顔の印象は強い。越畑から歩いて牛松山経由で戻ると云うと、牛松山から3時間は掛かる、と仰有る。

辺りの山岳にはかなり詳しい印象で、牛松山登山口も教えて頂いた。教えて頂いたルートを進むと牛松山登山口の看板があった。道の両側には常夜燈などがあり、山頂には金毘羅様の社があると云う。とすれば、淀川水系の水運の安全を祈願したものだろう。ここ迄に要した時間は3時間。

尾根に続く登山道の脇には、深く抉れた古い道が寄り添っている。見晴らしの良いところでは、千代川・桂川・淀川への展望が得られ、ピーク近くになると京都の町並みが見えて来る。600に少し余る程度の標高で、凡そ1時間、ピーク下の大杉の下にひっそりと建つ金毘羅様の社に着いた。今日訪れた人は他にお一人、愛宕山の帰りに立ち寄ったらしい。右手に賑やかな愛宕山が聳えている。

汗に濡れた身体は冷える。回復した天候は冷たい空気を伴っていた。さて肝心の下山路らしき踏み跡は?、ピーク北側の林の中に続いている。少し降ったところで途が分かれる。地図から云えば、北の尾根を降って北東に続く尾根を辿りたい。分岐の赤いテープには、東の尾根を降れば神明峠とある。ここで、前回の山の様子が思い出され、踏み跡程度の所要時間を考えた。

この際、神明峠辺りに降る事は時間の節約になり、途中で都合の良い分岐があればそちらへ行っても良い。目の前に聳えるのは愛宕山と地蔵山に続く稜線、越畑にはかなり近くなった。降る尾根の斜度はかなりキツイ、キツイけれども綺麗に整備された道で、調子良く降っているところで神明峠下の池が見えだし、尾根はほぼ南に降っている。これでは愛宕谷川に降りてしまう、と思った時には既に遅い。

辿り着いた愛宕谷川の林道を黙々、府道を吹く風は強く冷たい。今日の歩行距離は長く成った。こうはなったが牛松山へは登ったし、これでこの計画は完了にしよう、かな。


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