■ 播磨・フトウガ峰
・・・・2020年02月10日
2020.2.11

播但道を生野北で降りる頃にはかなり激しい降雪、トンネルを抜けるとゴルフ場への道を登る車が1台、続いて上ると先の車が止まっている。よく見れば、止まっている様に見えて徐ろに降っている。雪の着いた道は凍結して黒光り、経年劣化の進んだ冬タイヤではやむ終えない。滑る車の片側を抜け、雪に埋まる登山口に着くと先着はタイヤ跡だけ。

如何に温かい冬とは云え、最後の意地の様な降雪、意気込みほどは評価は出来る、が、溶けて黒い粒子を含んだ水を見るに付けてもその変質に驚くばかり。嘗ては、雪を食べる事さえ日常であった。既に立ち去った先行者の足跡は、登山道に間違い無く残っていた。どんな時間に登ったのやら。用意と云ってもワカンも無くアイゼンも無く、歩き出すところへ後続のご夫婦、山道具で埋まる車を降りて来られ、達磨ヶ峰までは行くと仰有る。

先ずは達磨ヶ峰までの高度差400m、先行者の踏み跡ばかりが残る登山道、辺りの視界はまるで無い。風は少なく気温は0℃、尾根に乗る辺りから北の風がやや強め。枯れススキの覆う稜線は如何にも中途半端、初冬の様な雰囲気である。踏み跡はどうやら達磨ヶ峰までで、これより先に踏み跡は見えない。尾根芯に続く夏道は、出来掛けの雪庇とその他吹き溜まりで、太腿まで埋まるところもあった。

風上の北側稜線下を歩けば何ほども無い、壺足でも、フトウガ峰まで充分可能だ。この辺りの雪は重い湿雪、嵩が無いのであるき易い。ここからは登ったり降ったり、積雪は幾分増えてきて、新雪の下にあるべき根雪が無いので滑り易く、木や岩などに躓き歩き難い。雪質も、いつの間にやらサラサラに変わり、風も冷たく気温はー3℃。増えた積雪と併せていよいよ歩き難い状態だ。

昨年、躓いて酷く痛い思いをした登山道の岩、今日は頭が覗いていた。時々薄日の差す尾根の先に、とりあえず目指すフトウガ峰が見えている。薄日が差すかと思うと直ぐ、黒雲が流れて辺りを覆う、降雪はほぼ切れ目が無い。最低鞍部からの登り返しで2度ばかり転倒、夏場でもガレた道、雪に隠れた岩は怖い。

人の姿の無い雪尾根に、もっとも多く足跡を残すのは鹿、それも小さな個体のものが多く、「腹へった腹へった」と呟きながら、餌を求めてあっちへウロウロこっちへウロウロ、辺りに残る馬酔木は食えず、枯れススキは食べるものでは無いのかな?。前後の足の間隔は30cmばかりの小さい奴だ。

フトウガ峰の端に辿り着き、夏道を歩くと岩で痛い、笹・灌木の間を歩くと膝上まで沈む、どうにも歩き辛い。大岩まで辿り着き、山頂標識辺りを見ると未だ距離が残る。風は強くて冷たく、雪は降り続き薄暗い。今日はこの大岩をフトウガ峰ピークにしても誰も文句は無いだろう。段ヶ峰の姿は全く見えない日である。

ピストンで降りの途中、第二峰の看板の下辺りで雲間が切れ、雪は止むし温かい陽射しも満ちて、お腹も減ってエネルギー補給が必要なとき、これ幸いと雪の斜面にシートを引いて、向いの稜線に天狗岩などの見える長閑なランチタイム。俄に起こる冷たい風でランチタイムは呆気なく終わり。この時を堺に、降雪は愈々激しく、踏み跡を隠すほどの勢いに。山の神のお気に障る様な事はいった記憶が無いのだ。


CGI-design