■ 但馬・妙見山
・・・・2020年01月11日
2020.1.13

目指した香美町村岡区の猿尾滝、曲がりくねった猿の尻尾どころか、見上げた高みから落下する太い水の柱は迫力があって、今まで見た滝の中でも優れたもののひとつ。気温は0℃ばかりで雪が無い。この季節で雪の無い谷底は、寂しさに閉じ込められた光景ばかり目立ってしまう。

滝を過ぎ、谷川に沿った広からぬ道を辿ると作山集落、戸外に止める車があって、見たところ空家などは目に入らない。道なりに進み、再び谷川に出たところで集落が切れた。舗装は未だ続いてはいる、が酷く荒れた様子に見え、目の前の使われなくなった浄水施設に近頃の踏み跡などは無い。

車1台分のスペースを有難く使わせて頂き、歩き始めたところに広い駐車可能地があった。道は冬期閉鎖らしいが今年は未だ雪は無い。暫く歩いたところで道は終わり、駐車場と登山口の案内がある。ともに近頃の人の痕跡は無い。お山の東側には賑やかなお寺と相当高所に登山口があると云う。妙見信仰で栄えた古刹であるとのこと。この古道を辿った先の妙見峠は信仰の道であったか生活の道であったか。

狭隘な谷底に続く古道は一重に歩き辛かった。杉の枯れ枝が絡む、枯れ葉の下の大きめの石がゴロゴロする道は、膝の大敵である。古道の脇に残る積み石などは、嘗ての往来の様子を想像させる。が、既に道とも呼べないほど流失し、辛うじて道型だけが残る道は残念ながら獣道にも劣っている。

植林の杉の木の下に座るお地蔵様、ときに訪れるハイカーをご覧になって、今昔の思いも如何ほどであるだろう。そんなお地蔵様が妙見峠まで数体。奇妙な事に、お地蔵様には十三丁などと数字が刻まれていて、それが登山口でも峠でも同じであった。もっとも、峠の二体は数字が異なり、もしや方向によって双方の距離が記されていた、かも知れず、既に二体のお地蔵様の無いところでは、実際のところは不明である。

まるで人の気配の無い峠から、尾根下に続く林道を見ながら尾根芯を南に歩く。流石に雪も出てきて、東側は杉の林、慰め程度、僅かに残るブナの枝には霧氷があった。尾根上から青空の下、多少の風の中のアップダウン、ピークを目指すだけの歩みの先に、驚く様な箱庭と、そこから覗く素晴らしい山々、膝を痛めてもなお登る甲斐はここにあった。

誰も踏まない綺麗な雪の上に但馬妙見山の三角点、更に南の方が高い様な?、と地図を見ると最高点は5mばかり高い。最高点の雪を踏み、風の無い辺りで昼食休息、陽射しの中は温かい。降りのコースはどうしよう?、案内標識によれば、西に降って作山に戻るコースがあると云う。地図を見ても、辿れる尾根が1つある。

西に降り、1127ピークから先は立派なブナ林が残っていた。ここでルートを間違えて、地図とは異なる小尾根を降り、着いたところは林道の終点、続けて降るには斜度が厳しい。結局、林道を登り返して妙見峠に戻り、登ったコースをピストンする、ちょっと長めの山歩きであった。


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