大峰は、行かなければならない筆頭にあっても後回し、結局、国道が閉鎖される間際に出掛ける年が近年多い。日帰りでは辛い距離・高度差、重いテント担いで食料持って行くのも覚悟がいる。今日は未だ、国道閉鎖の看板は出て無い。代わりに、4トントラックが通るので協力を、と書いてある。狭い道に4トントラック、ほぼ対向出来る場所の無い道だ、どこ迄もバックするしか方法が無い。閉鎖の看板よりは効果がある。
熊渡りの路肩に先行車が6台、先のお触れを知っての事か、軽車両ばかりが並んでいる。今年の川釣りは9月末で終了とのこと、従って太公望の姿は無し。澄んだ水面にお魚の姿も無い。陽射しでもあれば名残の秋も散見できよう、今日の空では雨が無いだけ有難い。川迫川の上の気温は1度である。
歩き出して見ると、林道を覆う落葉の下の割れ石の歩き辛い事、熊渡りコースの嫌なところはこの林道にある。谷の奥を周って、再び弥山川に沿って歩くと嫌でも鶏冠尾山が目に入る。夏場なら目立つ大岩壁は、冬枯れの樹木に埋もれて存在感が無い。岸壁を探して林道の端を歩くと冷汗ものだ。川面まで、遮るものは何も無い。古い道形は直ぐ上の辺りに残っている。強引さばかりが強調された、林道歩きを終えて汗を拭き、以外にも気温は3度で、駐車地より温かい。
金引尾根の山腹に続くつづら折れの途、まずは植林の下を歩くので面白い事は何も無い。6月頃なら、陽射しの届く辺りにヤマシャクヤクが咲き息抜きが出来る。初冬の今は、足元を見詰めて登るだけ。その登るだけの足元が覚束ない。光が足りないからソーラーエネルギーが無い。朝食が良くなくて化学エネルギーが不足している。昨晩の飲み会で備蓄エネルギーを消費してしまった。買った積りのチョコレートはお店の棚の上、小尾根に乗った辺りで腹がグウ〜グウ〜鳴る。
踏み跡が明瞭になりつつある直登コースは敢えて見送り、杉の葉に埋もれ出した旧コース?、をグッと堪えて登り詰め、断崖絶壁の弥山川を見下ろす辺りから風が強い、気温は氷点下。下山途中の男性を見送り、1300ピークを巻く唯一のフラットな途で、珍しい幼木を発見した、つもり。大峰では未だ見ていないカラ松の幼木、目面しいのでウロウロ、辺りを徘徊する事30分、お陰で休息にはなったが腹は鳴る。
川合コース出合までの厳しい斜面で更にエネルギーを失い、水と云う水は氷の柱となって真冬の装い。無人の川合コース出合いは寒かった。日裏山での昼食を繰り上げ、倒木の側でエネルギー補給、不穏な空は愈々狂おしいものに変わりつつあり、そういえば、午後からの天気予報は悪かったのだ。今年の大峰参りは1500手前で終わりにしよう。山の神さんにも快くご了承を頂いた上は、早々に下山しようか。両手は既に凍り付く手前だ。
降りの尾根で、先の幼木を調べてみた。ほんの狭い領域にのみ着生していて、姿形からするとカラ松だと思う。では黄色く紅葉して散るはずの葉は何故に青々と残っている?。戻って調べた結果、コウヤマキである事が判明した。名にあるとおり、高野辺りに多いとある。
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